大雨の日、武蔵小杉の歌会へ

 早朝目を覚ますとたたきつける雨音が聞こえたが、寝ぼけた耳は雨音とは思わなかった。

 激しい雨に気づいたのは雨戸をあけて庭を眺めた時だ。天気予報をほとんど見ていなかったので、予想外の雨にびっくり。

 今日は午前9時から武蔵小杉で歌会があるので、雨のなかをでかけた。それほど強い降りではなかった。

 多摩川の土手の上を走る道路をバスに乗って最寄り駅まで行き、電車に乗って武蔵小杉へ。

 駅前の中原市民館一階には歌会の仲間の三人がすでに来ていたので、合流して2階に上がった。

 中原市民館はコロナウィルスワクチンの接種会場となる予定なので、使える会議室が限られ、第一会議室と第二会議室しか使えない。

 今日は第一会議で歌会を開いた。9時から12時まで使える、18首の短歌を前半と後半にわけて、感想や講評を言い合い、ときには添削をみんなでし合う。

 わたしが司会を務めた。なるべく多くの意見を引き出し、皆さんの歌をよりよくしていこうと話しあう。様々な意見が出てくるので参考になることが多い。

 歌会の後は参加者のうち2人は帰り、残りの4人でいつもの店に行った。ちょうどお昼時なので店は混んでいて、予約してから10分ほど待った。一人は中華料理屋がいいと自分だけで入った。他3人はイタリアン・レストランに入ったが、中華の一人も食べ終わってイタリアンのほうにやってきた。

 食後はいろいろな話に花が咲き、ひとしきりおしゃべりを楽しんだあとにお開きに。

 ビルの4階から外を眺めると激しく雨が降っている。

 時間ずらして帰ろうと買い物をすることにした。見るだけでもいいと思ったが試着してスカートを1枚買った。ワンピースやスカートといえば冠婚葬祭か表彰式くらいにしか着ることがなく、5~6年に1枚買えばいいほうだったが最近はよく買うようになった。

 洋服だけでなく、野菜や肉も買い、電車に乗って最寄り駅に向かい下車した。改札を出ようとするがすごい雨でためらった。傘をさしていてもずぶ濡れになる激しい雨だ。

いつまでも待つわけにもいかず、思い切って出たが家までの道のりをこの雨の中歩くのは無理と思った。駅前の洋菓子屋に入り、2階の喫茶室に避難した。

 ここは思い出のある店で、駅前が見渡せる窓際の席に座った。昨年、知人ふたりと入ったときと同じ、紅茶のポットサービスを注文した。

 青い砂の入った砂時計がポットや、チョコレートとともに運ばれてきた。 

 砂が落ち切ったころが注文したダージリン具の飲み頃となる。

 紅茶の葉が開くまでラインで短歌を作った。キープメモで自分あてに送った。

 紅茶を味わいながらも短歌を作った。

 雨が小降りになるまでの時間、ほとんどずっと短歌を作っていた。

 ときおり雷鳴が響いたが、しばらくたって窓の外に目をやると雨の降りが弱くなっていた。

 スマホをバッグにしまい、覚めてしまった紅茶の残りを飲んでゆったりとした気分を味わった。

 もういつでも外に出られる。店内はわたしが来たときは5組ほどの客がいたが今は少なくなった。わたしの隣のテーブルに座っていた、同じような世界観を持っているカップル(のように思えた)も席を立った。

 残ったのはわたしだけとなり、少したってから店を出た。

 

水浸しの街から逃れむと駆け込みたるカフェに聞きぬ雷の怒声

 

遅すぎしシンデレラとなり装ひて一夜のディナーにのぞみたるかな

庭仕事に汚れたる服脱ぎすてて耳たぶ圧する真珠のイアリング

 

海の青盗んできたる砂時計さらさら流す青い時間を

青色のつぼみ描かる陶磁器に茶の角砂糖身をよせあへる

 

濡れねずみのベランダのビオラどの花も首傾けて観念しをり