ブルーインパルスが飛んだ

 曇り空だがときおり陽ざしが出る天気。風がほとんどないので、蒸し暑く感じる。

 火曜日にひらかれた武蔵小杉の歌会は疲労がたまって休んだが、7月の歌会はわたしがみなさんの短歌をプリントして送ったり、歌会の司会を務めることになっている。

 三人が交代で務める役割だが、この役目にあまり馴染めず、できればやめたいと思いつつ月日が経った。来年の春にはこの歌会も終止符を打つことになるので、わたしの気持ちはかなえられるわけだ。自分からみなさんのために役立ちたいと思ってやるならいいのだが、まわりからみんなのためにやるべきだというニュアンスで押し付けられるのは苦痛である。

 とはいえ、残りの時間をわたしなりにていねいにこなしていきたい。

 午前中にわたしの短歌を入れて15首の短歌をワードで入力し、プリントアウトした。

 コピーをとって発送するのは、週末の買い物などをすましてからにした。まず自分のことをやって、そのあとの残った時間で歌会のことをやろうと考えたのである。

 これが思いがけない出会いにつながった。車でスーパーマーケットに行く前にガソリンを入れるため、ガソリンスタンドに寄ると、多摩川の土手を走る道路におおぜいの人がいる。こんな光景は花火大会のときくらいしかない。スタンドのスタッフに聞くともう少しでブルーインパルス多摩川の対岸の川崎市側から飛び立ち、このあたりの上空を飛び回るそうだ。

 ガソリンを入れ終えて、買い物は後回しにしようと家に戻り、徒歩で多摩川の河原に向かった。着く前にブルーインパルスが隊列を組んで飛び立つのが見えた。

 急いで河原の下に降りて、大勢の人たちといっしょに空を見上げた。

 速くてスマホで狙うのはかなり大変。ブルーインパルスが撮れた写真はあまりなかった。雲だけだったり、画面の端に写っていたり、、、

 三機で隊列を組んだり、五機で隊列を組んだり、いくつかのバリエーションで上空を飛んだ。すぐ視界から遠ざかる。

 最後の飛行で、遠く去った空の端で五機が旋回した。きらっと五機の機体が光った。隊列は乱れず、五機の機体が旋回し、一瞬かがやく。すばらしい瞬間だった。

 ブルーインパルスと出会ったために、今日の予定が少し狂ったがこういう想定外はわくわくするし、望むところだ。

 歌会の詠草を投函したのは夕方遅くなってからである。

 友だちふたりにブルーインパルスの写真をスマホで送った。ひとりとは断続的にやりとりをして、もうひとりはまだ既読にならない。好きな時に見てもらえればいい。