軽鴨ルパンとひな鳥

 雲が厚くたれこめ、ぽつりぽつり雨が降る時間もあったがお昼ごろから陽ざしが出てきた。かなりしっかりとした陽ざしで、ならばと今日も洗濯をした。晴れ間が出たら洗濯をして、洗濯物をためないようにしないと。

 午前中は庭の草むしりをした。暑い季節に草がぼうぼう生えているとなおさら暑さを感じそうだからだ。草も葉も繁る季節だが少しでもすっきりさせて、涼しく見せる工夫をしたい。

 7月10日必着の明治神宮月詠会に送る短歌(題詠)をあれこれ考えたが、まだ決めていない。今夜中に決めたいと思っている。

 昼食後はいつものように仮眠をとり、横になりながら送る題詠をどれにしようか考えた。

 夕方近くになり、久しぶりに等々力駅前のカフェにバスに乗って行った。そのバスで近所の奥さんに会った。今週の月曜日にわたしに家に来てくれて、そのあとその人の家にこんどはわたしが行った、その人だ。会わないときは数か月?いや半年くらい会わないときもあるのに、こういうときもある。

 その人は家に帰るために乗り、わたしはカフェに行くために乗っていたので、途中わたしが降りて別れた。

 カフェに入る前に肉屋さんで夕食のおかずを買った。肉屋さんとカフェは道路を挟んで向かい合っている。

 カフェでは梅内美華子の『夏羽』という歌集を読んだ。この歌集におさめられた短歌を詠むと、刺激を受けて自分の短歌が読みたくなった。ラインのキープメモに短歌を入力した。短歌に使われたことばにインスピーレーションを得たり、シチュエーションに刺激を得たり・・・・・言葉は不思議な作用をもたらす。

 1時間余りに店にゐて、今日はバスで帰った。家までの道を歩いて帰る気持ちになれなかった。まだ体力に自信がないので無理はしない。自分の体と気持ちをいたわりながら毎日生きていきたい。

 バス停から家に帰る道は川沿いの道だ。家が近くなり、小さな橋を渡る時下流方向に軽鴨ルパンが川のなかの大きな石に立っているのが目に入った。お!ルパン!と思い、小走りに近づいた。最後のほうはもちろんゆっくり歩いて、驚かせないように。

 ルパンは石の上で大きな羽根(はばたく大切な羽根)の裏側をくちばしでつっついている。昔からこういうことをしていた。羽根の裏側に皮膚病でも持っているのかとずっと思っていた。治る気配はなく、わたしはずっと心配している。どんどん悪くなるようだとかわいそうだ。

 ふと目をやるとルパンが立っている石から50センチほど離れた石にひな鳥が一羽いる!このひな鳥は界隈で有名な(?)ひな鳥。最初の親鳥と9羽のひながいたが、一羽ひながいなくなり、8羽になったとき、親鳥が4羽を連れて急にいなくなった。残る4羽のひなは守ってくれる親がいないのでどんどん減っていき、一羽だけが残った。この一羽が石の上のひな鳥だ。

 ひな鳥は大きな大人の軽鴨を親と思い、誰構わずついて行く習性があるようだ。このひな鳥が他の大人の軽鴨を追いかけているのを昨日見たばかりだ。一羽では心細く大きな軽鴨を親と思い、守ってほしくて安心したくて必死に追いかけるが、追いかけられたほうはすごくそっけない態度をする。昨日、その様子を見て心を痛めた。 

 そのひな鳥がルパンと50センチくらい離れた石の上で、ルパンと同じように羽根を繕っている。同じ行動をするのは親愛の情の現れ。自分を好きになってほしい相手と同じ行動をして、その相手と一体になった気持ちとなり、その相手に自分を認めてほしいというアピールにもなる。

 ひな鳥の健気さにルパンはまったく気づかない。ルパンは自分の羽根をなんとかしたくて大変なのだ。

 ひな鳥は羽根を繕うのに疲れたか、石の上に座った。小さな小さなひな鳥。ルパンがそばにいるのでやや安心しているのだろう。どうか、夜眠る時ルパンがそばにいてあげますように。信心のないわたしだが、こんなときは神様に祈りたい。神様に願いたい。あまり善行を重ねていないわたしですがどうか、ひな鳥が一晩ゆっくり安心して眠れますように、お願いします。明日も元気、明後日も元気で、ずっとずっと元気で、大人の軽鴨になれますように。

 

f:id:leoleoleoya:20210707185317j:plain

手前がルパン、向こう側がひな鳥、50センチよりもっと離れているかもしれない

f:id:leoleoleoya:20210707184804j:plain

7時近くに撮ったのでピントが合わずあまり鮮明ではない