歌会のことで十数本の電話をかける

 午前中の早い時間まではいつものような一日だった。

 家の裏手に生えた草を抜き、脚立にのぼりネズミモチの木の枝を切った。

 午前の郵便が配達され、歌会の先生からの返信がなかった。

 先週の月曜に投函したので遅くても今週の火曜日には送った短歌の講評や添削が先生から届くものと思っていた。

 ところが水曜になっても届かなかったので、心配になり、歌会の仲間にどうしたらいいか相談するために電話した。先生に電話をして、わたしが送った封書が届いたかどうか聞くしかないということになった。

 先生に電話すると呼び出し音がしばらくなってから出られた。こちらの話しかけに返事がない。しばらくたって先生の声が聞こえた。息がはずんで苦しい中でやっと声を出した様子が伝わってきた。しばらく休んでくださいと声をかけた。

 話ができるようになってから、先週出した郵便物が届いたかどうか確認すると、こころあたりがないようでこころもとない。

 結局、先生からもう一度送ってくださいと言われ、速達で再送することにして、電話を切った。

 少したって先生から電話がかかってきた。郵便物をポストに投函できないと言われた。先生も奥さんも外に出ることが難しくなったとのことだ。先生は肺気腫を患っているがそれほど病気が進んでいるのかと驚いた。FAXか誰かに頼んでポストに投函してもらうかどちらかで送ってくれることになった。

 歌会に参加しているみなさんが先生からの返信を待っているかもしれず、遅れることを伝えるために最初に電話をした仲間と手分けして電話をした。

 わたしは6人に電話をした。先生のご様子を伝え、歌会の行く末など、用件だけではすまずいろいろな話をした。

 もう無理という声も多い。現在はコロナウィルスの感染拡大でみんなで集う歌会は休会しているが、コロナウィルスを別にしてもこのまま歌会が開かれなくなることもありそうだ。

 

 埼玉県で新型コロナウィルスの陽性患者が軽症と診断され、自宅で入院待ちをしていたが重症化して死んだ事例が発表された。50歳代の方だ。

 これが軽症?と言いたくなるような症状でも軽症と診断されるようでこわい。病床の空きがなくなり、医療の担い手が不足しているので、こういうケースはこれからも起り得る。