今日も曇り空がひろがり、ぱらぱら雨が降る時間もあった。
肌寒く冬が戻ってきたようだ。
居間のエアコンをつけ、掘り炬燵のヒーターを入れた。
先週、多めの肉を買ったが今日は魚が食べたくなり、買い物に行った。
急な坂道を上り、いつも行く駅前とは違う駅前をめざして歩いた。駅前から小さな商店街が続いている。
その真ん中あたりに小さな個人商店の魚屋があり、ときどき利用している。夕方遅めに行くとお刺身がないことが多いので午後早めの時間に行ったが、お刺身は三時以降に出すとのことで、出直すことにした。
家に帰るとまた坂道を上らなけらば行けないので、駅前近くのお寺を訪ねた。
このお寺はわが家の菩提寺とは違い、広大な敷地を持つ。下品、中品、上品の三体の阿弥陀如来像がそれぞれ別のお堂に安置されている。この三体の仏像は今年から一体に数年をかけて修復を行うとのことだ。
安置されている阿弥陀如来像に手をあわせた。
広い境内には桜の木が何本もあり、満開から少し過ぎた花がまだ見頃だ。たくさん植えられた楓の木は若葉がきれい。
桜の花びらがときおり散るのは、鳥の仕業のようだ。よく見るとひよどりが鳴きかわしながら枝から枝へと飛んで、そのたびに花びらがこぼれ落ちる。
境内は静かな墓地に続いている。ここには近所の知り合いの方が眠っている。ひとつひとつの墓所が広くゆったりとしている。この広い墓地のどこかに眠っていると思ったが広すぎて探せない。在りし日の知人が目に浮かんだ。家が近く、よく郵便受けを見ている姿を見かけた。
境内と墓地をひと回りして魚屋に戻ると、さきほど注文した刺身が出来上がっていた。電話で予約すれば夕方遅めに来ても大丈夫ですよと言うので、電話番号を教えてもらった。
帰り路は違う坂道を歩いて降りた。亡くなった友人がご両親や兄弟と住んでいた家があった所だ。家は坂道のいちばん上に建っていた。その家は敷地ごと売ってしまい、跡地には三軒の家が建っている。
敷地内に温室のあったゆったりとした友だちの家とはまったく違う、三軒の家を見ると複雑な気持ちだ。友だちの気持ちになって見てしまう。