久しぶりに従妹たちに会う

陽射しのある日中はそれほど寒さを感じないが、朝や日が翳る夕方は寒い。

午前中、車に乗り、花を束で安く売っている花屋に行ったが、駐車場はいっぱい。店の前にも車が何台も停まっていて、車を停める場所がなかった。仕方なく、駅前の花屋を行ったがこちらもいつも使う駐車場が満車で、花を買えずに家に帰った。

 明日は父の命日なのでできれば今日中に花を買いたい。

 昼食後少し休んでから歩いて駅前の花屋まででかけた。坂道を上り駅前まで15分はかかる。

 半ば過ぎまで歩いたところで、叔父(母の弟)の家が近くにあることを思い出し、ふらっと立ち寄った。一昨年叔父が亡くなってから、叔父のいない家に行くことにためらいがあって足を運ばなかった。今日は自然に叔父の家へ足が向いた。

 ちょうどふたりの従妹と、叔父の奥さんがいたので、座敷に上がってしばらく話した。わが家の水害のことや、わたしの母の最後の何日かのこと、祖父母の最期を迎えた日のこと。

 祖母の最期の日は叔父と同じ敷地内にある叔母の家に寝たきりの状態でいたが、朝、仕事にでかける叔母に、今日は仕事を休んでくれませんかと頼んだそうだ。叔母は祖母のことばを受け止めることなく仕事に出かけ、叔母が職場につく前くらいに息を引きとったそうだ。

 この話は初めて聞くのでショックを受けた。小学生のわたしは学校と自宅を結ぶ登校路の真ん中あたりにある祖母の家によく学校の帰り立ち寄り、おやつを食べるのが大好きだった。いつでも優しく迎えてくれた祖母の最期に寂しさを感じた。自分の死を予感したわけではないだろうが、何か不安を感じ叔母(祖母にとって娘)にそばにいてほしいと願った祖母の気持ちを思った。

 花屋に行く用事を忘れそうなほど話しに夢中になり、叔父の家を出たのは夕方近くになっていた。急いで駅前まで歩き、少し買い物をしてから花屋に行き、墓参用の花束を注文した。5~6年前くらいに来た時と同じ初老の男性が応対してくれて、あの時とそんなに変わっていなかった。5~6年たってもそんなに年をとったように感じないことが不思議だった。

 花束を持って家路を急ぎ、薄暗くなってきたがそのまま菩提寺に向かった。買ったばかりの花束と、花立で元気に咲いている百合を合わせて供えた。

 

晴れわたる冬空の下くちばしに啄ばまれたる命がひとつ

 

小刻みに羽ばたく命冬鳥は啄ばみ続けやがて動かず