風が冷たいが気温が上がった。
昨日からなんか調子がよくない。痰がからまったり、くしゃみをしたり。
今流向っている感染症ではないかと不安になる。ただ、この季節、いつも花粉に反応するのでそれかも、とも思った。
午前中、鷺草の球根の植え替えをしようと庭に出て準備を始めると電話の呼び出し音が聞こえた。すぐさま家に入ると電話にぎりぎり間に合った。
武蔵小杉で開く歌会の先輩からだ。今月10日の歌会が中止となり、こちらから電話をさしあげようと思っていた。玄関の扉を開けたまま、けっこうな長電話をした。足先が冷たくなった。
電話を切り、また庭に出ると、電話の音を聞く前にバケツに水を満たそうと蛇口を開けたのがそのままになり、庭は水浸しだ。あわてて蛇口を閉じた。瞬間、昨年の出水を思い出した。水が怖いという気持ちは決して消えることはないだろう。
郵便ポストを見ると葉書が1枚あり、差出人は武蔵小杉の歌会に入った新人の方である。3月24日の歌会は休むと書いてある。
この葉書を見て、歌会の仲間に電話をして葉書をもらったことを伝え、葉書を書いた新人の仲間にも電話をした。
こんなことがあり、鷺草の植え替えは昼食後、午後からはじめた。
指先が冷えて、水苔の中から鷺草の小さな球根を見つける作業が辛かった。老眼なので小さいものを見ようとすると目も疲れる。昨年と同じくらいたくさんの球根を取り出した。
新しい水苔を水を満たしたバケツに入れて膨張させた。平たい植木鉢4つの底に中粒の赤玉土を敷き詰めた。赤玉土の上に水を絞った水苔をふわりと盛って、そのなかに球根を埋め込んでいく。小さな球根から小さな芽が出ている。芽を上にして埋め込む。
一回、中休みをいれて2~3時間の作業だ。3つ目の鉢に球根を埋め込むころには風が強くなり、気温が下がったような気がした。急いで作業を進め、やり終えた。
今日は5年前、老犬ももこがこの家に来た日である。保護犬だったももこは、新しい家族候補のわたしとお見合いのためにやってきた。1週間~10日ほどのお見合い期間があり、相性が合えばそのまま家族になる。
一度この家でいっしょに暮らしたももこをボランティアの人たちに戻すことなど考えもしなかったので、そのままももこはずっとこの家にいた。といっても1年5ヶ月あまりの短い間だったが。
老犬ももこのことを思い出しながら、鷺草の植え替えをした。5年前、まだももことのお見合い期間中に鷺草の球根の植え替えをしたことが忘れられない思い出になっている。
庭から部屋を眺めやると、ももこが部屋の中からわたしを見ているような気持ちになった。
鷺草の小さき球根植え替えつわが家に来し犬思ひつつ
庭より見る部屋のなかにはまぼろしの老犬をりてわれを見たり