美容院に行く

今日は大工さんが来ない日。フローリングにする二部屋に使う床材が今日の午後、工務店に届けられるとのことで、明日から床を張ることになった。

 昨日の日曜、月曜と2日続けてゆったり過ごすことができた。からだ全体の細胞が生き返るような感覚があった。深呼吸を何回もして、からだのすみずみに酸素を行き渡らせた。

 浸水の日からひと月近く、よく生きて来れれたと今は思う。生き延びたという実感がある。心身とも緊急事態によく耐えた。

 朝は小雨が降ったがすぐ止み、午前中早い時間からよく晴れてお昼前から強い南風が吹き始めた。

 家中の窓や戸、扉をあけて風を通した。駐車場に布団を干したが強い風に吹き飛ばされたのですぐ取り込んだ。

 家の中でいらないものの整理をした。45リットルのゴミ袋に放りこんだ。それでも捨てらられないものがある。父や母が着ていた洋服は何枚か残した、押し入れの下にある茶箱におさめた。この茶箱は使わないけれど捨てれれないものが入っている。母が使った帯が数枚入っている。この帯はインテリアとして使うかもしれない。箪笥の上に帯を敷いて、写真を何枚か並べたり、小物を置いたり。

 風が強すぎて、玄関の扉をあけておくと落葉が入ってくるので閉めた。

 午後は窓も締めて美容院にでかけた。髪が伸びて始め、気になったから。久しぶりに坂道を上り最寄り駅まで歩いた。

 この前、美容院に行ったのは9月27日。あれから大人になってはじめて床上浸水を体験した。幼い頃、床上か床下かは覚えていないが近くの川が氾濫したことをうろ覚えに覚えている。

 この年になって体験する床上浸水は過酷だった。いや、若くても大変だと思うが、年をとるとなおさら大変になる。

 髪の毛を短くしても以前のわたしに戻るわけではないが、少しは元気になった感じがした。一度起った変化はもとには戻らないが生きるしかない。今まで抱えてきたたくさんのものを捨てることができたのは、水害がもたらした唯一の前向きなことかもしれない。