明治神宮月次歌会、お題は「雪」

 最寄りの駅までの道はまだ雪が残り、あまり日があたらない坂道は雪が凍り付いている場所がいくつかある。
 大雪が降った日からあまり気温が上がらないため、雪がすっかり熔けきることができない。
 JR原宿駅を降り、明治神功の大鳥居をくぐり参道を社務所まで歩いた。参道もところどころ凍りついた雪が残り、注意して歩かないと滑ってしまいそうだ。凍っていない道を選んで歩いた。
 今回の月次歌会の当座は「雪」。講師は岡野弘彦氏。
 歌会の前の講話で、先生が出された「初詣で」の題詠に集まった歌の数がいつもより少なく、レベルも低くなったと話された。ふつう百何十首の歌を選ぶが今回は60首ほどしか選べなかったとのことだ。わたしたちの生活のなかにお正月や初詣での占める重さが軽くなり、年が改まり思いを新たにするという意識が薄くなって来たのではないかと話された。
 わたしの場合はお正月を迎え時たたぬうちに父母が亡くなったこともお正月への思いが屈折する理由のひとつかもしれない。すでに父母が他界してから6年以上たっているがそう簡単に気持ちは入れ替えられない。
 「雪」の当座で提出された歌もあまりよくなかったのだろうか。天地人と佳作7首、計10首をいつもなら選ぶところ今日は9首しか選ばれなかった。佳作10は該当作なしと書かれた。
 だが参加者の作った歌71首を先生が寸評されるとき、いい歌と盛んにほめられる歌があったが選んではいなかった。先生が言うには天の歌の次だったので見落としたようだと。
 会場に微苦笑がひろがった。だが今回の歌会はいつもより先生の講評が厳しかった。安易にほめることもなく、細かいところを指摘された。とても中身の濃い歌会だった。

 わたしが今回提出した歌

 積む雪に小さきかまくら作られて冬の日影のやすらいてをり

 先生はすーっと入ってくる歌と言われた。

 「雪」で作った歌は他にこんなものも。

 音もなく降り続く雪 気がつけば家のめぐり包囲されたり

 降り積みし花壇の雪にストックは意志あるごとく花をつきだす

 夏空が似合ふ木なれど降る雪にしなひてしのげる夾竹桃