お花見日和の日曜日、明治神宮月次歌会へ

 朝から晴れて青空がひろがり、ほどよい春の陽射しが注いだ。
 庭に出ると1本ある染井吉野は下の枝は満開だが上のほうはまだ咲き始めたばかり。黄色の山吹が陽光にきらきら光っている。花壇ではヒヤシンスが咲き、忘れな草の小花が咲き始め、チューリップの花芽が伸びてつぼみが期待をかきたてる。咲く前のチューリップのつぼみは愛らしい。こんな花の庭をゆっくりと見ることなく、今日は明治神宮歌会にでかけなくてはいけない。
 家に老犬ももこがいた時、ももこを家に置いて出かけるのが心残りでしかたなかった。だが今日は花たちを置いて出かけるのが心残りだった。
 明治神宮に近いJR原宿駅はおおぜいの人で混雑していた。大鳥居の手前で神宮の森から気持ちよい風が吹いてきて誘われるように鳥居をくぐった。参道はびっくりするほど外国人が多い。参道を歩く80〜90%は外国人である。
 社務所のある周辺はいつものように静かでほっとした。
 3月の月次歌会の先生は松坂弘氏。当座は「足音」。歌会の会場の前の白板に書かれた当座を見るたびにいつも無力感におそわれる。なんとなく予想していてもはずれてしまうから。
 わたしが提出した歌は

 遠くよりわが足音を聞きたるや玄関に入れば犬構へ待つ

 他にこんな歌も作った

 雪の朝若き女のハイヒールが仕事に向ふ足音させり

 今日の歌会はなんとなく調子が出なかった。いつもはひとつの当座で3〜4首ほどつくるのだが今日は2首がやっと。頭が回らない感じ。(いつもそうだろうと言われれば返すことばがないが)
 歌会を終えて原宿から脱出するのが大変だった。JR原宿駅の改札に人が殺到して流れが止まってしまった(中に入れない)。しかたなく表参道まで歩き、東京メトロに乗って渋谷へ。さらに乗り換えて帰った。

 落椿を気にして拾ふ母逝きて庭道にかがむまぼろしを見る

 わが家に墓参の帰りに叔母は来て乙女椿のひと枝持ち帰る

朝の庭の桜