沈丁花のつぼみふふむ

 朝は冷え込みは同じだが日中はいくらかあたたかくなった。陽のあたるところはぽかぽかしている。
 陽当たりのいい駐車場の横に植えた沈丁花はぎっしりとつぼみをつけ、うす赤に色づいている。柴犬レオがいた頃、30センチにも満たない苗を植えてここまで大きくなった。それだけの時間が過ぎたことが感慨深い。
 午前中、近くの特別支援学校に足を運び、校内のカフェで入れたての珈琲を楽しんだ。友だちが先に来ていて、少したって高齢の顔見知りの奥さんが来た。さらにもうひとりの友だちが病院からの帰りと言ってやってきた。こじんまりとしたカフェ内はすぐ満員になり、絵を描く奥さんとそのご主人は外のテラス席にひざ掛けを貸してもらい座った。
 1時間余り、サービスのお代わりの珈琲をいただきながら話に花を咲かせた。
 お昼前に」陽射しがあるので少し回り道をして友だちと途中までいっしょに帰った。その足でお寺に行き、花立の水を換えてお線香をくゆらした。
 午後は炬燵に入って「伊勢物語」を読んだ。高校時代の古典の授業以来、読んでいない本だが古典の先生の顔が思い出され、本の中のいくつかの下りは記憶に残っていることがわかった。物語のなかで詠まれた短歌は覚えているものも多い。
 先生がある場面に対して、物語を書いた作者の集中力というか緊張がゆるみ、物語のレベルが落ちてきたというようなことをおっしゃったことも思い出した。同じ人が書いたのだろうか。それとも何人かが書いたものが「伊勢物語」としてまとめられたのだろうか。

 今の世もいつかの世の昔語りテレビに過去の政権交代を聞けば

 睦月なるに春の光あふれをり墓地の花たちきららかなり

 飢餓ゆえか干したる固き芋ついばむ目白のつがひ今日も訪なふ

 寒ほどけ丹沢のやま富士のやま稜線ゆるく連なりてをり


写真を写すわたしの影も写した
二株の沈丁花が並んで植えられている
植えて6年近くになる

白花の沈丁花はこの庭の沈丁花のなかでいちばんの古株
植えてから10年近くになる