伊勢物語の講義を聞きに行く

 おだやかな晴天が広がり、花見日和の金曜日。三月も明日一日で終わりという日。朝方は風が強く、桜の花が散るのではないかと心配したがわが家の桜はそれほどでもなく、近所の川べりのさくらもまだ大丈夫。
 池袋にある自由学園明日館で1時半から開かれる「伊勢物語」の講座を聞きにでかけた。歌会の友だちと目黒駅で待ち合わせて一緒に行った。明日館には4年半ほど前の秋、一度訪れたことがある。全国の近代建築の絵を描いた画家の展示会が開かれ、観に行ったのである。雨模様の日だった。
 今日は打って変わって抜けるような青空で、フランク・ロイド・ライトの建築はまったく違って見えた。秋の雨模様の日にはしっとりとくすんだような色合いの建物が日に照らされ明るく輝いていた。だが建物の中に入ると4年前とまったく変わらなく、古びてはいるが意匠をほどこされた室内空間の味わいを強く感じることができた。
 伊勢物語の講義は絵画展が開かれた講堂のようなところで行われた。講師は岡野弘彦先生で、最初に自己紹介的な話が45分あり、その中で伊勢物語の日本の物語としても価値に触れられた。第一段から講義が始まり、第四段まで進んだ。ぜんぶで百二十七段ほどあるので先は長い。
 マイクから離れているためだろうか、声が小さく聞き取りにくかった。わたしの耳の調子がよくないのも関係しているにちがいない。
 次回は在原業平について語ってくださるようで、これはぜひ聞きたいと思った。
 講義の後、先生の最新の自選歌集をどなたかが紹介した。先生自らが選んだ百首とそれぞれの解説、先生の略歴などがまとまられている。街の書店に出たら手にとってみたい。友だちは買いたいと言った。
 講堂を出て、明日館のなかにあるカフェに行った。珈琲をとお菓子のセットを注文し、中二階にある席に座った。前に来た時もここで珈琲を飲んだ。珈琲もおいしいし、特別に提供された桜湯もおいしかった。

自由学園明日館の建物
芝生の広場でお花見をする人も・・・・・

今夜は夜桜見物の催しものがある