父が残した芍薬の植え替え

 6年前に亡くなった父が八寸鉢に植えた白い芍薬。ここ数年花つきが悪くなり、毎年植え替えようとずっと思っていた。柴犬レオがいる頃から植え替えを考えていたかもしれない。4〜5年前だが。
 父が植えたのはいまから十数年前。鉢植えの芍薬は数年に一回は植え替えた方がいいと本に書いてあるので植えっぱなしもほどがある状態。
 今日の午前中。思い切って植え替えをした。何も考えずに植え替えた。考えると面倒になりやめてしまいそうで。寸鉢から抜いた芍薬はぎっしりと太い根を張っていた。窮屈そうにうねっていた。来年の葉っぱや花になる赤い芽がいくつもあった。芽が出ないうちに植え替えた方がよかったのか。ここまで来たら引き返すことはできず、根の周りの土をほぐして落とし、赤い芽を傷つけないようにスコップでふたつに株を割った。が芽がひとつぽろっと落ちてしまった。あ〜あと思ったがもうやるしかない。
 ふたつに分けたひとつを鉢に植え,一つは地植えにしようと思ったが、植えようと思った場所をスコップで掘り起してみると庭木の根が張っていて深く掘れない。芍薬は下に根をどんどん伸ばすのでここに地植えはできないと判断し,二つとも鉢植えにすることにした。大きな花壇はもしかしたら深く掘れるかもしれないが芍薬を植える空き場所がないので。
 二つに割るとき根を傷めた可能性もあり、無事に根付くことを祈るばかり。父が植えた芍薬をいつまで咲かせたい。
 夕方近く、葉書サイズの画用紙に描いた絵を3点、額縁に額装して近くのデイケアサービスに持っていた。一階の広間でデイケアサービスに通うお年寄りや近くの特別支援学校の生徒、地域の人などの絵画や書道、手作り品などの作品を展示するというのでささやかだが協力させてもらうことにした。
 友だちも6〜7点の絵を持ってきたのでいっしょに展示スペースに並べた。その後、すぐそばにある友だちの家に寄り、紅茶をごちそうになり、少し話した。


 大空を数限りないつぶてとなり鳥のかたまりが旋回するなり

 葉を落とした花水木の枝の向こう家の灯がともり初める

 灯を点さぬ対岸のビル夕闇に白く浮かびて真新しい廃墟