友だちの犬を家に預かった

 友だちの検査入院があり、ご家族が日中は愛犬の面倒を見られないので昼間だけ預かることにした。
 老犬ももこがいるときと死んでからとあわせて何回か家に上がったことはあるが、やはり自分の家ではないので落ち着かないようでほとんどの時間起きていた。眠ったのは1時間と少しくらい。わたしがかまうとじゃれついてきて何回も遊んだ。廊下を走ると後ろから付いてきて、振り向くとうれしそう。
 高齢犬であり慢性病をもっているためおしっこが近い。ご家族の話では1時間に一回くらいの頻度ということだが起きているときはもっと頻繁におしっこをする。柴犬レオがいたときフローリングの広縁と廊下にジョイントマットを敷いたがこれが役立っている。量はそれほど多くないので下に漏れることがなく、気がついたらすぐ拭き取ることができる。
 ももこがいるときもマットを敷いた部屋と廊下は役だったがももこは後ろ足が悪く、トイレシートの上に乗るとすべってしまい、不都合なことがあった。また、ももこはおしっこの量が多く、マットの繋ぎ目から下にもれることが多かった。
 友だちの犬の面倒を見つついっしょに過ごしているとなぜかももこのことが思い出されてならない。この家にももこが来た初めての日(夜だった)、わが家の駐車場に停めた車から降りてきたももこをなつかしく思った。ああいうときがあったのだと。あのとき車を降りてそのままお見合い期間を経てももこは家族になったのである。
 友だちの犬が廊下を歩きまわるのを見て、ももこと部屋から廊下を歩いて回り二周するとおやつを2つやるという遊びをよくやったのを思い出した。ももこはいっしょうけんめいにわたしの後をついてきた。後足の調子が悪い時はこの遊びは控えていたがいつからかできなくなった。
 このブログを書いている時、友だちの犬はわたしが庭に面した部屋の隅に作った即席のベッ(座布団の上にトイレシート、その上にバスタオルとフリース)に眠っている。今日はじめてこのベッドに眠ってくれた。ベッドは居間にいるわたしから見えない所に置いてある。ももこもわたしの目を避けるようにこの隅に眠ることがあった。そんなとき障子を開けてももこが見えるようにするとちょっと驚いた顔をしたものである。
 6時過ぎに目を覚ました犬はぴよんぴよんはねて外に行きたがったので家に帰る用意をして散歩に出た。ご家族の携帯に電話するが出なかった。友だちの家に近くなったらご家族の方がいらしたので犬を返した。犬は家の方向にぐいぐいリードを引っ張っていた。
 友だちの犬がいなくなり寂しいというよりほっとした。無事に預かることができて。

 友の犬預かる日の朝 庭道へ伸びるラミウム切りきれいにする

 五月の風少し開けた掃き出しの窓より入り犬とわれに届く

 犬眠る部屋の空気が変わりたり命ふたつが家に息づく

 友の犬家に預かれば逝きしわが犬の思い出よみがへりたり