昨夜は友だちと森美術館へ

 今日は曇り空でときおり小雨がぱらつく。湿度は高いが暑さはおさまった。

 昨日の東京は猛暑日で都心でも37℃を超えたようだ。日中は外にいるだけで疲れてくるような暑さで、炎天下をさけて家で過ごした。

   昨日は夕方近く家を出て、電車を乗り継ぎ、六本木駅で降りた。六本木ヒルズにある森美術館で友だちと待ち合わせた。チケットはわたしが前もって買ってあったので、3階の入り口あたりで落ち合った。

 時間通りに来た友だちはいつもと服装が違っていて驚いた。夕方は仕事帰りの友だちと会っていたので、いつもスーツ姿だったが昨日はポロシャツとズボンというほぼ普段着。驚くわたしに対して、先週末、自転車から落ちてしまい肩を打ったので仕事を休んでいると説明された。骨折はないが筋が切れている可能性もあるようだ。肩が痛くて腕が上がらないと言う。 

 だが美術館賞のは差し障りがないので、約束通り来てくれたようだ。

 エレベーターで53階に上るとそこが森美美術館で、再度スマホのチケットを見せて入館した。

 「ワールドクラスルーム 現代アートの国語・算数・理科・社会」という世界各国の現代美術の展示で、印象としてはアジアおよび日本のアーティストが多いように感じた。

 友だちとは見たいポイントが違うので自由に見て回りつつ、ときには同じ作品を短いことばをかわしつつ鑑賞した。

 映像作品も多く、小さな個室のようなところの壁がスクリーンとなって、前に白い背もたれのない長椅子が一つ置かれている。沖縄の離島の海や浜辺、ホテルなどを映像として流しつつ、作者と思われる人が英語で語る。日本語の字幕がついている。アメリカにある期間住んでいた作者が故郷である沖縄の離島に帰り、昔の友人と再会し、離島で起きた出来事が語られる。離島で起きた出来事は祖父が体験したものだ。

 その世界に引き込まれるドキュメンタリーの短編映画として鑑賞した。

 映像作品には、世界中の失われていく言語を現在その言語を話している人たちの言葉で、そのことばへの愛着を語るという作品もあった。その言葉は父や母、祖父母たちが話していた言葉であり、愛着を感じるのはその記憶や歴史、風土とつながっているからだ。

 東日本大震災後の陸前高田を撮影した写真は、津波で破壊された家々はすでに取り除かれた街のふしぎな佇まいが映っている。そこで多くの人が暮らした街は消え失せ、人々の命ものみこまれ、だが再開発という人の営みが続けられている。

 ベトナム戦争のさなか描かれたたくさんの絵画をコラージュした作品も印象に残った。ベトナムには一度訪れたことがある。1990年代の終り頃だろうか。その頃のホーチミン・シティはまだバイクと自転車が多く、現在とはだいぶ違った。空港も信じられないほど小さかったが今は多分立派な国際空港になっているはずだ。

 2時間ほどたっぷりと時間をかけて鑑賞した。

 美術館は52階にあるので、会場を出た後、夜の街を眺望できるところに足を運んだ。東京タワーを眺望できる方角は有料の展望ルームがあるが、こちらはその反対側で青山墓地が眺められた。湿気が多いのかどんよりした感じて、きらめいた夜景の感じが抑えられている。それでも東京の夜の街を高層階から眺めるのは何回もあることではないので、目に焼き付けた。この友だちと東京の夜景を眺めたのははじめて、というか夜景を誰かと眺めることがそんなにはなかった。

 夕食を食べようという事になり、六本木ヒルズ内の店を回ったがどこも価格が高めだったので、街に出た。そんなに歩かないでいい店を見つけたので入った。ワインの種類が多い店だが、最初はやはりビールを飲んだ。マグロとアボカドのカルパッチョ、鶏むね肉のチーズ焼き黒オリーブ添え、蛸の唐揚げを注文し、ビールの次はワインを飲んだ。わたしは最初は白ワイン、友だちはビール2杯のあと赤ワインを。わたしも友だちと同じ赤ワインを追加した。白ワインはオーストラリア産で美味しかったが、赤ワインはスペイン産の辛口でやや土臭い感じがした。最後に頼んだフライドポテトも美味しかった。

 食事もアルコールもたっぷりと楽しんだ。いい夜をありがとうと友だちに伝えたい。