三菱一号館美術館に「ヴァロットン」展を見に行く

 一昨日、千代田線で二重橋駅に行き、静嘉堂美術館を見てきたがその時、すぐ近くに三菱一号館美術館があるのを知った。 

 美術館のはしごはその日は無理だったので、別の日に、と思っていたが思いがけなく早く今日行くことにした。

 二子玉川から半蔵門線直通の電車に乗り表参道へ。ここで千代田線に乗り換え、二重橋駅(丸の内)で降りた。

 美術館に入る前にA16という名のイタリア料理店でパスタのランチを食べた。ここは以前、横浜のみなとみらいにある同じ店に入ったことがある。

 迷って選んだショートパスタはとてもおいしかった。

 「ヴァロットン」展を開催している三菱一号館美術館はこの店の向かいにある。当日券を買って入館した。

 フェリック・ヴァロットンはスイス生まれの画家で、白黒の木彫作品で知られた人だ。1865年に生まれ、1925年に60歳で没している。スイスからパリに移住し、パリで画家として活躍した。

 展示作品のリストをもらうのを忘れたので、作品名を明記できないが、生まれ故郷であるスイスの山をシリーズで(6作品ほど)表現した白黒の木彫は迫力のある美しさだ。

 スイスのある地方からパリにやってきたヴァロットンは、パリの人の多さに驚いた。パリの街で生活する人々を白と黒のコントラストが効いた版画で表現したがすべてに風刺の視点が入っている。死んだ人を葬る埋葬の場面や、暗殺の瞬間など、死さえも生きている限り避けられない出来事として描かれている。

 ヴァロットンは34歳になり、資産家の女性と結婚し、生活のために版画を作る必要がなくなった。それでも版画と言う表現手段を捨てることはなかった。「intimites」というシリーズは特に黒の使い方が特徴的な木版画のシリーズで、男女のさまざまな場面を作品化している。例えばすました顔でソファに座る女性の横で、ハンカチで顔を覆って泣く男性とか、外出の最後の仕上げに香水をふりかける女性のかたわらで男性が退屈そうにソファに座っている場面どか、、、、、。

 ヴァロットンの白黒の木彫作品は黒の使い方が非常にうまいが、年を追うごとに黒の分量が多くなったように感じる。

 楽器を演奏する場面を木彫で表現したシリーズでは、特にギターがすばらしかった。黒の使い方は絶妙で効果的だ。ピアノの弾く人を描いた作品は、多くの部分が黒で塗りつぶされていてそこが魅力的である。

 

写真撮影を許されたヴァロットンのモノクロの木彫作品、パリの街角でにわか雨が降り始めたときの人々の様子を描いている

パリに住むさざまな人々

三菱一号館美術館の2階か3階から眺めた中庭、新郎新婦が写真撮影をしている

夕ぐれの丸の内界隈、街路樹にはイルミネーションが耀いている