日中は気温が上がり、コートなしの軽装がちょうどいいくらい。
前から観に行きたいと思っていた「奇想の系譜展」を観に上野公園にある東京都美術館に足を運んだ。
家を出たのはお昼頃。あいかわらずJR山手線・上野駅公園口は人が多く、平日・休日を問わずいつも人が多いなとつくづく思った。
東京都美術館も混雑していたがこの前に行った北斎展よりはいくらかゆったりしていた。
「奇想の系譜展」は『奇想の系譜』という書物で紹介された江戸時代の正統から離れたところで、独自の絵画を追求した画家たちを取り上げて展示しているようだ。本は読んでいないのであまりはっきりしたことは言えない。
本展示では書物に取り上げられなかった画家を何名か加えてあるとNHKの日曜美術館で語っていたように記憶している。
伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠〇〇、鈴木基一、歌川国芳の9人の江戸時代の画家の作品が展示されていた。
いちばん興味を持って鑑賞したのは伊藤若冲とやはり曽我蕭白の絵である。
若冲の「紫陽花双鶏図」では鶏よりも紫陽花の描き方が独創的でなんども見てしまった。こういう描き方があるのかと目が開かれた。
「鶏図押絵貼屏風」は鶏のさまざまな姿態が墨で描かれ、動きが複雑でどんな動きをしているのかわからないものもあったが、動きをそのまま描いているところがいい。
曽我蕭白の絵はどぎつい色彩、デフォルメしたグロテスクな顔、可愛くないこどもなど、絵とはこいうものだという先入観をくつがえすところがおもしろい。ただ、中国の文化の影響がとても強いのではないかとも思った。
長沢芦雪も好きな画家だ。「白象黑牛屏風」は6曲1双の屏風からはみださんばかりに白い巨像と黒い牛が描かれ、白い象の背中には黒い二羽の鴉、黒い牛の足もとには白い子犬が配されている。白と黒、大きいものと小さいものという二つの対比を6曲一双の屏風に表現したもので、ウィットにとんだ絵だ。
芦雪の描く動物が好き。ナメクジを描いた絵もあった。
道ばたに青紫のすみれ咲きこの世のすき間数限りなし