おだやかな晴天が続く。
昨年末、知人にすすめられてぜひ行きたいと思っていた「大浮世絵展」にでかけた。
ほんとうは午前中早い時間に家を出るつもりだった。出かける前に川べりの短い散歩に行ったが軽鴨ルパンを見かけて、写真を撮ったりしているうちに時間がたってしまった。
朝9時くらいなのに、羽根にくちばしをうずめて眠る?(休んでいる?)ルパンを見て、わたしは心配になった。もう母親の気持ちに近い。どうしようもできないけれど。
家に帰り、気持ちを切り変えてでかけた。眠っている石をまた見に行ったがもういなかった。かえって安心した。
都営地下鉄大江戸線に乗り、両国駅を降りると目的地である江戸東京博物館はすぐだ。駅とほぼ直結してる感じ。地下鉄も駅もそんなに人出がなかったのに江戸東京博物館の「大浮世絵展」会場に来ると、こんなに人がいるの!というくらい混んでいた。チケットを買うだけで20分くらい待ち、会場では展示された浮世絵を見る人がなかなか動かないところが多く、比較的空いている絵から見ることにした。
空いてるところを探して鑑賞しながらも、いちおう全部見ることができた。喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川広重、葛飾北斎、歌川国芳の浮世絵五大作家が一堂に会した見応えのある展示会だ。
歌麿と写楽の浮世絵はほとんど海外の美術館からの里帰りしたもので、いかに日本の浮世絵が海外に流出したかを思い知らされた。北斎、広重は一部が海外からの里帰り.国芳の作品はすべて所蔵先が明記されていない。美術館のスタッフに聞いたところ、所蔵先を伏せることを先方が要望したからとのこと。
歌麿の浮世絵でおもしろいなと思ったのは遊女たちの生活を描いたもの。「青楼十二時」というタイトルで12枚の浮世絵で、遊女の生活のさまざまな場面を描いている。
今回、展示されていたのは客が寝入った後、厠に行く遊女の絵と、昼間のひまな時間に占い師に見てもらう絵の二枚で、興味をそそられた。
ただ、江戸東京博物館では、ベルギー王立美術歴史博物館から借り受けた12枚の浮世絵のうち4枚しか見ることができず、しかも展示期間が違うので4枚全部見るためには2回は来ないといけない。さらに他の8枚は、この展示会が巡回する他の2つの美術館でしか見ることができない。
なんでこんなにせこい展示方法を選んだのだろう。海外の美術館が所蔵している作品が日本で見られることになったのだから、なるべく多くの人に鑑賞する機会を提供するほうがいいのではないか。
歌麿や写楽の作品をこれだけまとめて見たのははじめてなので、とても見応えがあった。北斎や広重はわりとよく見ている方かも。国芳の作品もまとめてみるのははじめてだが、ユニークな作品が多く、その良さがじゅうぶんに伝わってくる展示内容だ。