大宮図書館、最後の日

 晴れて青空が広がる。雲が多めの空。

 朝から蒸し暑くなりそうな天気だ。

 JR大宮駅から徒歩15分くらいのところにある大宮図書館に通うようになって3日目。

 平成12年に他界した歌人、永田陽子さんの遺品の一つである同人誌「詩線」の通巻32号ぜんぶを閲覧したいと図書館側にリクエストし、その期間を3日間とした。

 今日がその最後の日で、25号から最終号まで読みながらコピーを取るページを指定した。

 最終号(32号)は冊子ではなく、B3サイズの用紙の裏表を使っている。31号までは16ページプラス表紙の冊子で、31号は1989年に11月に発刊された。最終号は1992年(平成4年)1月だから2年以上ブランクがあった。

 永井陽子さん、大西美千代さんが同人誌「詩線」を始めたのは1975年(昭和50年)。永井さんが24歳のときだ。終刊を迎えたのは40歳のとき。16年の間、同人誌を続けてこられたことに心から敬服の思いを抱く。

 すべての号に目を通し終え、必要と思ったページのほとんどのコピーを取ることができた。コピーができるのは全ページの二分の一というルールがあり、一部はコピーできなかったが。

 3時半ごろ、大宮図書館を後にした。文学資料担当の図書館員の方々には大変お世話になった。わたしがいることでいろいろ気を使っていただき、またコピーを取っていただき、ありがたく思っている。

 また、何か見たい資料があるかもしれず、足を運ばせてもらうかもしれず・・・・・その時はよろしくお願いします。

 大宮図書館のすぐ近くに氷川神社の参道が通っている。この参道は今回図書館に来た最初の日に発見して、お気に入りの場所になった。なが~い長い参道で、両側に樹高の高い木と低い木が植えられ、並木道になっている。参道添いには民家や店が建つが、木が植えられた両側が道行く人の目を遮り、また四季の色どりをそえている。参道を風が吹き抜け、神様が風を送っているのではないかと思った。

 参道は長すぎて氷川神社には行き着けなかった。いつか行ってみたい。やり残したことがあるとまたこの街に戻って来られそうだ。

 三日だけ通った大宮という街のほんの小さな部分しか見ていないし、体験していないがこの街に親しみを感じるようになった。

 すぐには帰りたくなかった。参道を歩いて遠回りして大宮駅に行き、駅ビルのなかをうろうろした。タピオカ烏龍ミルクティーなるものを店に入り注文した。ラインのキープメモで短歌をいくつもメモした。

 あるお店で買い物を少ししたが店員さんが大宮生まれの大宮育ちとのことで、氷川神社のお祭りのことを話してくれた。コロナ禍で昨年は中止だったそうだ。何百年もの間続けられてきたのに、と残念そうだった。

 大宮の街に1週間ぐらい滞在してみたいなとふと思ったが、気の迷いかも。

 なんかわたし、おかしくなっただろうか。

 いつもの日常に戻りたくないわたしがいる。

 

 

初夏の日の氷川神社の参道は誰もがゆったり歩いていたり

 

この店は今日が最後と思へばこそごちそうさまと声明るくす

 

無風なる店のうちより風に揉まるるメタセコイアを眺めるはよし

 

去りがたき街のとある店はじめてのタピオカ烏龍ミルクティー飲む

 

大宮に七日がほどを住みたいとふと思ひたり小さな魔がさす

 

明るさを残す曇天午後六時電車の音さへいま子守歌