坂道をのぼって買い物に行く

 雲が厚く垂れこめ、雨は降らないが寒い一日。

 東京に緊急事態宣言が出てから、テレビを見ていまどのような状態なのか知りたいと思ったが、今日あたりからテレビをあまり見ないようにした。

 不安をかきたてられ、悪い方へと考えが傾いて行くのが嫌だからだ。

 情報を得るために最低限の報道番組を見ることにした。

 午前中はずっと家にいて、季刊の短歌誌の今月末の締め切りに向けて投稿する短歌をまとめようとした。だがなんとなく力が入らない。 

 どの歌を選ぶかという根本的なところで頭が働かない。これはという短歌がないからかも。もう少し短歌を詠みためてからはじめることにしよう。

 昼食後は坂道をのぼったところにある商店街に買い物に行った。

 家のなかにずっといるよりいろいろなものを見て、心や頭が動きだすのではなだろうか。行き詰ったときはからだを動かしたほうがいい。

 どんよりとした空の下を歩きながら、心は晴れないが別の視点からものごとが見れるようになった。新たな視点が正しい見方とはいえないが、こういう見方もあるという気づきたけでもいい。

 洋服と魚の切り身と、朝食用のパンとマスクを買って家路についた。散歩も兼ねて少し遠回りして。

 

骨董通り階段下る和食屋でかの日に食べし鰤柚香焼き

 

芹の香に思い出づるは土鍋にて牛肉と煮る母のひと品