目覚め際に見た夢

 昨夜は一度目が覚め、しばらく眠れなくなった。

 目が覚めている間になぜか、昔親しかった友だちのことを考えた。20年くらい前に出会い、15年くらい友だちだったがあるときから連絡できなくなった。こちらが電話しても電話に出ず、返信はなかった。

 なんでなのかはわからない。しばらく悩んだが時間がたつにつれて、わからないことをいつまでも悩んでいることはできず、静かに受け入れてきた。

 この友だちについて思い出したり考えたりするのは久しぶりで、目覚めた深夜、仲良かったときのこと、仲がいいように思えたが今思うと亀裂が入り始めた頃のことなどをいろいろ思い返した。

 最後の数年、今思うとおや?と思うような友だちの言動があったがその時はあまり気に留めなかった。だがあれは一種のサインだったと今なら思える。 

 こんなことを考えて再度眠りについたためだと思う。7時頃目覚めた、その覚め際に友だちの夢を見た。覚えているのは夢の最後のほうだ。久しぶりに会った友だちにわたしは友だちの母親のことを聞く。すると友だちは糖尿病が悪くなり、入院していると答え、ほら、あの病院と建物を指さす。

 これからお見舞に行くようで、友だちはわたしと別れて道を渡り、病院の方へ向かう。わたしは道の反対側から友だちに手を振る。何回も何回も。友だちの姿が小さくなっても手を振り続ける。ここで目が覚めた。

 手を振り続けたときの気持ちみたいなものが目が覚めても残っている。強い印象となり、午前中はこの夢のことが頭からなかなか離れなかった。

 お昼過ぎ、ラインを知人に送った後、10月末締め切りの短歌誌に送る短歌10首と、随想を推敲した。このあたりから夢の影響が薄くなり、現実に戻ることができた。

 夢を見た友だちとは、現実で一回、夢で一回、計2回別れたような気がした。

 友だちの夢はこの友だちと会いたいとか、そういう気持ちの表れではないと思う。現在の人間関係のどこかに不安を持っていて、その不安を自分に知らせる夢ではないだろうか。この不安をわたしは前向きな姿勢でうまく乗り越えることができればいい。夢がそのきっかけになればいい。

 

愛惜をこめて手を振るあの人へ夢のなかにて二度目の別れ

 

夢のなかちぎれるほどに手を振りて昔の友と道挟み別る