友だちと中目黒で忘年会

 風はないが空気が冷たい。

 今日は夕方から友だちとふたり忘年会の約束をした。

 バスと電車を乗り継いで中目黒で降りた。改札を出たところで待つことになっていたが、改札がふたつあるのでその間で待つことにした。そのことをラインで知らせた。まだ5時なのにかなり混みあっている。もう東京は休日モードである。

 友だちは5時ちょうどくらいに来たので、いっしょに改札を出て、予約してくれた店まで歩いた。友だちがよく行く店は年末で予約が取れなくて、ネットで探してくれたようだ。

 まだ時間が早いので店内にあまり人はいなかった。

 まず。生ビールを注文。海老とマッシュルームのアヒージョ、牛肉の煮込み、モッツアレラチーズやサーモンの入ったサラダを頼んだ。

 さらに白ワインと赤ワインを頼み、わたしとしては久しぶりにアルコールを飲んだ感じだ。

 わたしの短歌のこと、短歌の仲間のことを話した。さらにいつもは話さないようなことも話した。酔いが手伝ったとしか言いようがない。今年、わたしを悩ませたことをいつのまにか話していた。この友だちにここまで話すことはなかったので、どこかでわたしのスイッチがオンになった感じがした。洗いざらい話してしまうと、友だちとの関りも洗い流してしまいそうで、そこは一線を引いた。

 だが友だちも驚いただろう。

 飲み終え食べ終えて店を出た。珈琲を、とわたしがリクエストして中目黒の駅前を通る山手通り沿いを歩き、上島珈琲に入った。ここでも先ほどの続きで、わたしはかなりの本音トークをしたが、店の営業が8時までだったので結果救われたかもしれない。時間切れで話が終わり、言い足りない気持ちが残ったが言わないほうが良かったとも思った。

 帰る方向が同じなので、電車に乗り二つ空いていた席に座った。話したりないと思ったが、それは来年につながるために必要なことだった。

 わたしの好きな歌人である横山未来子さんの短歌に、言いたりない思いを詠った歌がある。

 

言いたりぬことあるままにひと組の赤き手袋に手をおさめたる

 

 とても大人な短歌である。手をおさめる所作が言いたりぬという思いをおさめる、心の動きを表していて、素敵だなと思う。赤き手袋もいい。

 この歌に比べるとわたしの言いたりぬは、思いが浅いかもしれない。