上野の森美術館に「ゴッホ展」を観に行く

 お昼頃、弟が家に来た。

 電気工事の人がテレビの回線をつなぐ工事の下見に来るのでそれに合わせて来たのである。

 工事の人は弟が来てすぐやってきて、弟が使う予定の部屋には居間から地上波やBSの回線を引くことになった。

 工事の人が帰ってから外出した。年末年始に観たい展示会がふたつあって、そのひとつが上野の森美術館で開催中の「ゴッホ展」だ。

 1時ごろ家を出て、途中買い物を少ししたので上野に着いたのは2時半ごろ。軽く昼食を食べて美術館に向かった。

 この美術館は「フェルメール展」を観に来たことがある。こじんまりとした展示スペースが特徴だ。

 今回は、画家を志したゴッホに最初に影響を与えたオランダのハーグ派の絵や初期のゴッホの絵がまず展示されている。次にフランスに移住してからゴッホが触発された印象派の絵や、印象派との出会いを通して新しい色彩に目覚めたゴッホの絵が展示されている。

 いちばん印象に残ったのはゴッホの晩年の絵だ。「サン=レミの療養院の庭」や「糸杉」「薔薇」の三点に釘つけになった。

 「サン=レミの療養院の庭」のあふれるばかりの色彩と生命力。狂わんばかりと言いたいくらいの過剰な生命力に圧倒された。

 「糸杉」はゴッホにしか見えなかった糸杉が描かれていて圧巻だ。ゴッホがいかに真剣に糸杉と対峙したかが伝わってくる。

 「薔薇」は白い(多分)薔薇を描いた絵。この絵はずっと前から見たいと思っていたので実物に会えて感激した。この薔薇を描いた絵は2点あり、展示されていない方の絵をカレンダーか何かで見ていつか本物を観たいと思った。今回観たのは別の一点だがそれでもよかった。色彩は抑え気味で、花瓶に活けた白いバラの背景はうすいグリーンが使われている。だが白い薔薇の命が輝いていて、ゴッホの悲しい最後を思わすものは何もない。ゴッホが描いた花の絵の中でも一番目か二番目くらいの好きな絵だ。

 いつか観たいと思った絵に会うことができた。

 ゴッホは影を表現するのに黒という色を使ったのだろうか。療養院の庭の絵、糸杉の絵では濃い影を黒っぽい色で表現しているが、青の濃い色のようにも見える。いくら目をこらしても、黒なのか、濃い青なのかわからなかった。