ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行く

 やっと念願かなって、予約したロンドン・ナショナル・ギャラリー展に行くことができた。

 天気は曇りで暑くなく過ごしやすい。予約の時間は10時半から11時で、この間であればいつでも入場できる。入ってからは時間制限がない。

 少し早めに家を出たが、ハプニングがあり、早めで出て良かったと思った。東急・目黒線に乗っている時、突然、スマートフォン緊急地震速報が鳴った。電車に乗っているすべて〈だと思う)の人のスマホが同時に鳴ったので、すさまじい音量で唖然とした。電車が止まり、地震に備えての停車をアナウンスした。長い時間停まっているように思えたが6分経ち、揺れがないので運転する旨がアナウンスされ、動き出した。

 どのくらい停まるのかわからず、場合によっては間に合わないのでは?と思ったので動きだしほっとした。

 目黒駅で山手線に乗り換え、1月末以来となる山手線で上野をめざした。あれから新しい駅が一つできたが行きも帰りも気づかず通り過ぎてしまった。次に山手線に乗ったら高輪ゲートウェイの駅を忘れずに見ることにしよう。

 JR上野駅公園口も様変わりしていた。改札を出ると車道を渡り、公園に行くのだが道路がなくなっていた。上野駅の前で道路は分断されている。地下に道路が移動するのだろうか。

 上野駅公園口は昨年のいつ頃最後に行ったのだろうか。いろいろなことが変わってしまっている。

 上の公園口からだと、いちばん最初にあるのが国立西洋美術館で、ここでロンドン・ナショナル・ギャラリー展が開かれている。 

 10時半~11時を予約した人たちが並んでいて、時間が来ると小分けして入場できる。チケットのチェックが何回かあり、そのたびに人の流れを分断するようになっている。

 入場口は地下にあり、並んで待つのは1階である。

 展示会場は最初のところだけはやや人が集まっていたが、展示会場を重ねていくにつれ、人がばらけてきて、ゆったりと鑑賞できた。こんなにゆとりをもって絵画を鑑賞できるなんて!こんなことが実現するとは夢にも思っていなかった。こっちのほうがわたしは好きだが、入場料の収入は少なくなるだろう。

 ロンドン・ナショナル・ギャラリーは西洋美術史の教科書的なコレクションを目指して収集をしてきた。なるほどと思いつつ鑑賞したがやはり、いちばん観たいのは印象派以降である。印象以前ではレンブラントが書いた肖像画が印象に残った。レンブラントレンブラントのようにしか絵が描けないというか、レンブラントの絵は他の画家とはまったく違う何かがあると思った。

 印象派の作品が集まる展示室の最初の絵はゴーガンの花の絵だ。花瓶に活けた花を描いた、この絵はどこか東洋の色彩を感じさせる。ポール・セザンヌの絵もよかった。2枚あって、一枚は「ロザリオを持った老女」、もう一枚は「プロヴァンスの丘」。

 フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」は最後から二番目の展示室に飾られていた。黄色の同系色と緑の濃淡でまとめられている。背景の薄い黄色が印象的だ。花瓶に青い細い線が描かれ、サインはVincentと花瓶に斜めに青い色で描かれている。色彩的には青色だけが補色であとは同系色だ。

 ゴッホはひまわりの花を目の前にして4枚のひまわりの絵を描いた。そのうち最後の2枚を自分で気に入り、サインを入れたそうだ。そのうちの一枚が展示されている。

 気に入った2枚のひまわりをもとに、あと3枚ひまわりの絵をゴッホは書いた。計7枚のひまわりの絵を描いたそうだ。

 ゴーガンはゴッホのひまわりのなかでも今回展示されている作品をいちばん気に入り、「フィンセントの作風を本質的に表現した完璧な一枚」と後に絶賛したそうだ。

 最後の展示室では7枚のひまわりの写真が展示され、その違いを鑑賞できる。最初はひまわりの絵の背景に補色を使っていたのが印象的だ。補色の背景の絵を2枚描き、次の2枚は同系色の背景である。ゴッホ自身も同系色の背景のほうを気に入ったのである。