ほとんど何もしない大晦日

 朝は冷え込み、花壇に霜が降りた。目高が棲む水瓶にかぶせた畳表を太陽がだいぶ上ってから取り除くと、水底にじっと動かない目高が見えた。氷が張っていないのは防寒対策をほどこした成果だろう。
 午前中、テレビをつけ番組表を見てNHKの朝の連続ドラマ『半分、青い』の総集編が上映されると知った。いちど見始めると最後まで見てしまった。生れて初めてしっかりと見た連続ドラマだが何度見てもあきない。多分、ヒロインが漫画家になるという夢を持って10年近くがんばったその生き方が好きなのと、ヒロインにからむ男優たちが魅力的だからだと思う。
 昼食をとり、またテレビをつけるとこんどはBSプレミアムで是枝裕和監督の『そして父になる』の放映があると知り、見始めたら最後まで見てしまった。リリー・フランキーさんが好きで見ているだけでいい気分になり、うれしくなる。福山雅弘さん演ずる父親は父親としてかなりひどい男だと思うが彼も傷つくことで人の痛みがわかるようになり、こどもと向き合うようになる。自分の不幸からこどもを授かった恵まれた夫婦に復讐するような気持ちで、看護師が故意に生まれたばかりの赤ん坊をすり替えてしまった。その衝撃を二組の夫婦が受け止める。
 福山雅弘は金持ち父さん、リリー・フランキーはそうでない父さん。そうでない方は二重に被害者のような気もする。とばっちりを受けてしまったというような。
 テレビドラマと映画をテレビで見てしまい、ほとんど何もできない大晦日となった。
 年賀状も早々に書いて投函した。買い物もすませた。別になくても困らないものは慌てて買う必要はない。
 ただ、田作りを作ろうと小魚を用意したので、あわせる胡桃を買いに暗くなりかけた街に出た。コンビニにはなく少し離れたスーパーマーケットまで。生の胡桃を買い、家に戻ると玄関のノブに紙袋がかけてある。袋の中を家に入って見ると、焼き豚のかたまり、お正月用のお惣菜、黒豆の煮豆、姫柚子が入っていた。近所の友だちが持ってきてくれたのだ。
 焼き豚を焼くのであげるとは言われていたが、年の瀬も押し迫ったので・・・・・無理かなと思っていた。こうしていただいたことがとてもうれしい。
 急いで買ってきた胡桃を乾煎りし、小魚もじっくりと乾煎り。砂糖やみりん、醤油、酒を煮たてた中に胡桃と小魚を入れからめ、胡桃入り田作りを作った。
 いただいた数の子や他3品と作った田作りを重箱に詰め、即席のおせち料理とした。
 例年の大晦日とだいぶ異なる大晦日になった。
 柴犬レオも老犬ももこもいなくなって、一人でいることにだんだん慣れてきた。こころのなかにはレオも、ももこも、いつもいて、話しかければ応えてくれる。一人でいるが独りではない。亡くなった父母もいる。
 生きていくのはこんなものかなという気持ちがある。


 こうしてブログを続けてこれたのは訪れてくださる方たちのおかげといつも思っています。
 つながっていることを意識せずにつながっているような、わたしにとってブログを通したみなさまとのつながりは大切なものです。
 みなさまの新しい年が実り豊かで、チャレンジのある、いきいきとした1年となりますようお祈りいたします。


 できればはてなダイアリーからはてなブログに移行したいと思っています。
 移行時にしばらくブログを休むことがあるかもしれません。
 スムーズに行けばいいのですが・・・・・