昔の知り合いに似た人を見かけて

 急に寒くなったと感じる一日だった。
 午前中は近くの特別支援学校に行き、校内のカフェでハーブティーを味わった。売店では大きなブロッコリーがひとつだけ売られていたので買った。スーパーマーケットで売られているものの2,5倍の大きさ。
 カフェで知人や友だちと他愛のない話を楽しんだがこういう時間が吹っ飛んでしまうようなことがあった。
 夕方、買い物に出ると通りを昔の知り合いに似た人が歩いていた。その知り合いは6年前に他界したのでその本人が歩いているわけはないのだが、その背恰好がそっくりで歩き方も似ていた。ジーパンをはいているところも似ている。10年以上前の知人がそのまま戻ってきたようだった(ありえないけれど)。
 その知人が柴犬レオと多摩川に散歩に行ったときよく会う方で、レオよりだいぶ年上のビーグル犬を連れていた。その犬の名前から「ジャー二ィおじさん」と散歩仲間は呼んでいた。
 会うと犬のおやつをくれるそのおじさんをレオは大好きで、もっと好きなのはジャー二ィという名前のビーグル犬で、レオはその年上の犬を慕い尊敬していたようだ。
 ビーグルは2007年の冬に病死したがレオはその後もしばらくはその犬がいた家の前を通ると耳を傾け、匂いをかいでいた。
 知人に似た人を見かけたことで、一気に10年以上前の時間をたぐり寄せることとなった。やはり、レオが、レオだけがその時間のなかにいて、元気な頃のレオをたっぷりと思い出した。
 レオが死んでから、晩年のレオのことはよく思い出したが、若い頃はそれほどではなかった。レオと過ごした時間はとても長くて、一生かけても思い出せないくらいの思い出がある。 
 柴犬レオはわたしにとって本当に大切なパートナーで、あれほど愛した存在はいなかったし、これからもいないにちがいない。