昨日は映画「日日是好日」を観に行った

 昨日、少し前から観たいと思っていた樹木希林さんが出演した映画を観に行った。「日日是好日」というお茶を習う女性と茶道の先生が綴る23年の歳月を描いた映画だ。
 上映中の109シネマズ二子玉川まで電車で行った。駅まで坂道を上り、電車に乗って十数分。
 二子玉川は以前はもっとよくでかけたが最近はそれほどではない。街行く女性たちのファッションがよりカジュアルになり、こなれた感じなのが新鮮に目に映った。以前はどちらかというと高級カジュアルか上質の外出着が多く、この街を歩くと肩身のせまい思いをしたことがある。そういえば4〜5年前ごろから変わってきたかもしれない。
 12時半からの上映を観たがかなり混雑していて、スクリーンから三列目までしか座席が空いていなかった。三列目を選んだ。
 映画は思った通りの映画でとても楽しめた。こころもからだもかまえることなく映画を見る楽しみに身をゆだねた。そうさせてくれる映画だ。
 大学生のヒロイン(黒木華)が学園生活にも中だるみを感じた頃、母親のすすめで近所の茶道の先生に習いに行くことになる。本人は乗り気でないがたまたま同席していた従妹が興味をしめし習うことになり、引っ張られるように習い始める。
 お茶の作法が習うひとつひとつが映像となる。最初は袱紗のたたみ方。ヒロインはあまり積極的ではないがとりあえず続けている。お茶をはじめたのが戌年の年であることが茶器の選択でわかる。映画はそれから二回りめの戌年で終わるのである。
 季節を追って季節とともにお茶を習う。お茶につきもののお菓子の映像がすごくきれい。茶室の外の景色も季節を伝える。お茶は夏と冬では道具立てが変わり、入れ方も違うことをはじめて知った。
 大学を卒業し、就職をせずフリーライターとなるヒロイン。従妹は商社に就職する。お茶を習う歳月にヒロインは結婚間近の婚約者に裏切られ、父の死を体験する。
 お茶を習い10年を迎えた頃、先生(樹木希林)にあなたも十年になったのだから自分で工夫をしなさいというようことを言われる。自分の居場所を失ったように感じるヒロイン。
 親元を離れた娘に会いたいを電話をくれた父に忙しくて会えないとことわったその数日後に父が倒れ、他界してしまう。後悔にさいなまれつつも時間とともにその悲しみを受け入れて生きてゆく。
 お湯を注ぐ音と水を注ぐ音の違いがわかるようになったり、茶室の外の庭を打つ雨音の複雑な音の交じりあいを聞き分けるようになったり。ヒロインはお茶を習うことで自分自身が変わっていくことを実感する。
 映画の冒頭、小学生のヒロインが親と見たフェデリコ・フェリーニの「道」をぜんぜんわからなくおもしろくなかったと感想を述べるがお茶を習うようになり、映画を見直すとこの映画を見ない人生は考えられないというくらい感銘を受ける。
 わたしは大学生のとき、この映画を見た。友人とこの映画について熱心に話したのを思い出す。ジェルソミーナの無垢な顔を思い出す。
 三度目の戌年を迎え、23年習い続けたヒロインに先生はあることばをかける。このことばは胸にずっしりときた。
 先生(樹木希林)は映画の中でこんなことも言った。お茶は毎年同じことの繰り返しかもしれないがこうして同じことができるのは幸せなことよね。

 西空の端に夕茜コンビニの灯りが一日の終わりを輝く

 晴れわたる秋空からの使者のごとスカイブルーのトラックが走る

昨日の朝撮った写真
夜の間に雨が降ったようだが日中は晴れて気持ちのいい天気だった