友だちと日比谷で会う

 長い付き合いの友だちと日比谷シャンテ前で待ち合わせた。昨年の同じころ会い、今年は6月に会う予定だったがわたしの都合が悪くなり、先延ばしにしていた。
 シャンテ内の栗原はるみさんの店でランチを食べた。冷房がきいていた。わたしはランチメニューのカレーライスをドリンク付きで注文。友だちは豚バラ肉の煮込みと小松菜のどんぶりを注文した。
 カレーライスはご飯も上にかかっているカレーソースもぬるく、味はいいのだが熱々を食べたいと思った。食後のミルクティーもぬるかった。熱々の紅茶に熱いミルクを注いで飲みたいと思った。
 友だちとは一年ぶりなのでいろいろな話をした。一年前は老犬ももこが死んですぐの頃であれから流れた時間を思った。
 友だちのお母様は認知症がいちだんと進んだようだ。ショートステイをときおり利用して、友だちは月に2回くらいは時間を気にせず外出できるようにしたいと言った。
 食後は日比谷公園まで歩いた。日比谷シャンテがある一郭は高層ビルが立ち並び、歩道を歩いていても圧迫感がある。歩道には街路樹やきれいな植込みがあるが高いビルとビルに挟まれた圧迫感をやわらげることはできない。
 日比谷公園の中に入ると気持ちがほわっとやわらぐ。高いビルはなく、あるのは高い樹々と噴水と広々とした広場。松本楼のそばにある銀杏の大木に引き寄せられるように歩いた。松本楼に入り、紅茶とケーキを注文した。わたしはオープンなテラス席に座りたかったが友だちは蚊に弱いと言ったので店内の見晴らしのいい角の席に座った。大銀杏の太い幹やその周りの樹々、植込みなどが一方に見え、もう一方は噴水が見えた。
 途中、店のなかの照明が夜の雰囲気に変わった。辺りが暗くなってから店を出ると松本楼の建物にイルミネーションが輝いていた。とても落ち着ける店でまた来たいと思った。

 テレビで見た北海道のばん馬の牝馬の目が老犬ももこの目と似ていてほろっとした。このばん馬を思い出したのは今日電車を待っているとき前にいた女性が黒い髪を細く編みこんでいたのを見たからだ。

 前髪を編みこみにしたるばん馬の牝馬を画面いっぱいに見たり

 おほき顔頑丈な四肢太き胴持つばん馬の目はやさしかりけり

 電車に髪を編める若きをみな見て編みこみのばん馬思い出づ