明治神宮歌会、当座は「出水」

 昨日が老犬ももこの命日で今日は明治神宮歌会の日。昨年はももこの葬儀の日が歌会の日に重なり、行かなかった。ももこが死んでからでなく、生きている時に歌会を欠席すればよかったと思いつつ、電車に乗って原宿に行った。駅を降りるといつもより改札のあたりが騒然としている。
 改札を出て右に曲がるとそのわけがわかった。今日はスーパーよさこい2017が開かれる日だった。明治神宮の鳥居に近いところに大きなステージが作られ、グループによる踊りが繰り広げられていた。
 携帯で写真を撮り、すぐ歌会の会場に向かう。
 今日の講師は岡野弘彦先生。人気のある先生でいつも大勢の人が集まる。今日は91人の方が参加された。当座は「出水」。先生が言われるのは東京近辺はあまり出水に襲われることがないのでこの当座を選んだとのこと。被災地ならば、生々しすぎる題詠として避けるだろうと。また参加者の年齢からして出水の経験もあるに違いないとの読みもあったようだ。
 参加された方が詠んだ歌はやはり自分とは遠い世界的な切迫感がないものが多かったと先生はおっしゃった。中には切実な歌もあったが。

 わたしが出した歌は先生が少し手直しされた。手直しされてうれしかった。歌がぐっと良くなったから。

 遠雷がふいに近づき滝をなす雨に庭は出水のごとし

 遠雷がふいに近づき滝をなす雨庭のおもては出水のごとし  (直された歌)

 こんな歌も考えた。

 国分寺崖線の下わが住めばひそかに流るる出水の恐怖


 歌会とは別に詠った歌

 夕風の手のひらにふわりなでられ帰路の足どりやや軽くなる

 喇叭吹く天使を飾る建物と書き割りのやうな三日月の空