老犬ももこの一周忌

 一年前の今日(金曜日だった)老犬ももこはこの世を去った。1周忌の朝からデジカメで空や庭を撮った。1年たって、あれから変わったもの変わらないものを撮った。変わらないものがあるだろうか。わたしも一年分老いたが心の中は変わらない。今、ももこがこの家に戻ってきたらまたいっしょに暮らせるだろう。
 ももこがいた頃、よくいっしょに歩いた柴犬の飼い主さんがお線香をあげに来てくれた。柴犬は今14歳でやはり老犬のため、日々の世話が大変になってきている。電話やメール、ときにはその柴犬を交えて歩いて、ももこが縁で仲良くなった飼い主さんや犬とずっと親しくしてきた。
 ももこに花を持ってきてくださった。白と緑色、ピンクの彩りのトルコキキョウ、カーネーション、カスミソウの花束だ。友だちは「寂しいかも・・・・私の好きな色にしたの」と言いながらわたしてくれた。しとやかでおだやかなももこらしい花束だ。一年たっても、ももこのことを気にかけてくれる人がいてくれて、ももこよ、よかったね。あなたはひとりじゃないよ。
 友だちにネット張った目高の水瓶を見てもらったら、気になることを言った。このネットでは蛇はすり抜けるのではないかしら。ドキッ。わたしがいちばん危ぶむのはそこで、食べ物がほしい蛇は何とかすり抜けるのではないかと心のどこかに緊張感がある。
 早朝、水瓶のそばに蛇がいて、わたしが歩く方向にくねくねと逃げて行った。ネットにどろっとしたものがこびりついていたのが気になる。今のところ、6匹入れたはずの水瓶は5匹になり、7匹入れたはずの水瓶は5〜6匹を確認している。7匹のほうはホテイアオイが浮かんでいて数えにくいのだ。

 最上川見下ろす宿に泊まりけり雪深き林を犬歩きをりき

 最上川沿いの肥沃な地は江戸の世の紅花の一大産地なり

 川沿いに細長き家建ついっかく水上交通盛んなりし名残り

 十二月に訪ねたれば灰色に吹雪くなか列車は進む

 カルヴァドスはノルマンディのりんご酒にてメグレ警視が好む酒なり

 ひととせの過ぎる速さをふと思ふ老犬ももこの死にし後の

 わが家に一年五ヶ月をりし犬の死してひととせ過ぎ行くなり

 逝きし犬の忌日にわが友より供華を賜る緑おぶる花

 三日月形のさやより髭もつ種子あらわるオキシペタラムの種子