アンネ・フランクの薔薇が咲いた

 今日は4月最後の日で連休2日目。4月半ばまで毎日のように朝の散歩をいっしょにしていた犬友だちはとつぜんの病で検査を受け、朝の散歩は家族の方が代わってくれるようになった。ときどき夕方の散歩をしているようでわたしが家にいるときは同行しているがそれもだんだん少なくなってきた。病名ははっきりしないがそのことがかえって重大な病気であることを指し示しているようでこちらからは
問うことはしないできた。友だちの話の端々からある病気が浮かび上がるがわたしからはこの病名を口に出すことはないだろう。
 朝はこの友だちにメールを送った後少したって電話がありいくらか話すことができた。愛犬も友だちも調子は良さそうだ。声が元気なのでよかった。
 メールを送る前にひとりで散歩に行き、久しぶりにお墓参りをした。花立の花は枯れていて中の水は汚れている。花を捨て花立をきれいにした。後で庭の花を切ってもう一度お寺に来よう。
 家に帰り、ピンク色のツツジと赤いラナンキュラス、薄紫の都わすれ、薄いピンクのアゲロステンマ、ギボウシの葉を切り、水切りをして花束にし再度墓参に行った。友だちから電話があったのは花を水に漬けているとき。
 午後は陽射しがおだやかになってから庭に出て、芽吹きのおそい紫陽花に水をやった。この紫陽花はこの庭にたくさんある紫陽花のなかでいちばん思い出の多い木で、枯れたらショックでわたしは落ち込むだろう。だがその可能性がある。この時期になっても若葉がまばらにしか出てこない。できればさし芽をして次世代を残したいが弱った木の枝をさし芽して根付くだろうか。
 庭の花は移り変わっている。花数が少ないが名無しの青紫のクレマチスが咲き始めた。このクレマチスも思い出が多い花で、さし芽をして次世代を生育中である。アンネ・フランクの薔薇もひとつだけ咲いた。この薔薇はさし芽をしたものがうまい具合に育ったが冬の乾燥が堪えたのか今年のはじめに枯れてしまった。またさし芽をするつもり。

萌え初めし銀杏の若葉たとふればこどもたちのさまにきらきら

連休に入りたる町庭に出て手入れする姿ちらほら見ゆ

病ひ持つ友と電話で明るく話せど切りし後のしずけさが痛し

ジャカランダの葉青き空にコラージュされしあの夏の日を忘れず

老ゆる犬介護せし日々空仰げば水木の枝がやさしい日傘に