特別支援学校のカフェで会った人

 昨夜、夜中に一度起きたら庇をたたく雨音が聞こえた。朝目覚めたときは強い風の音が聞こえた。庭に面した掃き出し窓を開けると強風で草木が激しくあおられている。
 このような荒天もすぐ落ち着いて7時過ぎには雨が止み、やがて風もおさまった。
 毎朝わが家の前で落ち合っていっしょに散歩している友だちと今朝も散歩した。だが友だちは先週、体調を崩し吐き気などの症状があったので病院でMRIの検査を受けた所、さらに詳しい検査が必要になり他の病院を紹介され予約した。今朝も一見いつもと変わらないように見えたがやはりいつもより元気がない。表情とか話し方とか。
 わたしは心配でたまらない。友だちは家族のため愛犬のため、かなり無理をしている。朝5時から夜12時近くまで家族と犬の面倒を見ている生活だ。
無理が重なって症状が出たのでもう少し家事や家族の世話など手を抜いてもいいのでは、と思うがそうはできないようだ。せめて詳しい検査を受けるまでは大事をとってほしいが友だちはそれほどとは思っていないのだろうか。
 犬の散歩などわたしが助けられることがあれば何時でも電話をしてほしいと伝えてある。
 近くの特別支援学校で今日は売店とカフェが開かれるのでいつものように足を運んだが友だちは来なかった。わたしもできるだけ休むようにしたほうがいいと言って、来るようにすすめなかった。売店では友だちの分の野菜も買って後で届けることを伝えた。
 校内のカフェは授業の一環として開いているが、新しく2年生が授業に加わり、先生は一から接客のしかたを指導している。じっさいの接客の場面でなんども同じことを繰り返して教えている。
 カフェでたまたま前に座った方が赤ちゃんを抱いた若い母親で、こちらから話しかけてあたりさわりのない話をしていた。赤ちゃんの名前を聞くとえ!と思うような、でも素敵な名前。いつも持ち歩いている短歌手帳を取り出し、その名前の命名の由来などをメモして歌に詠もうとしていると母親が短歌を詠むのですかと訊ねてきた。え!という感じで母親を見た。
 話を聞くとその方は歌集の装丁をしているそうだ。わたしも知っている出版社の名前が出た。出産してしばらくは装丁の仕事を休んでいたが最近再開しているとのこと。短歌を詠む人はそんな多数派ではないし、短歌に関わった仕事をしている人もそんなに多くはないと思うが思いがけないところで同席出来てうれしい驚きを感じた。
 赤ちゃんの名前はわたしの好きな歌人若山牧水の有名な歌にも詠み込まれてある。もしかしたらこの歌のイメージも命名のきっかけになったのではないだろうか。

 啼き声の主さがせど見えず目は大空の鳥影にたどりつく
 元気そうに見えた友のとつぜんの病い芽吹きの庭に影よぎる

 わが前に赤子を抱く母座るがぐずれば立ちてあやしたり
 白と紺のストライプのチュニック着る女(おみな)初夏の風も連れて来ぬ
 海に近き家で8月のよく晴れた日に生まれたればこの名を付けし

 芽生えたばかりの柿の葉が何かの約束に見える卯月の夕まぐれ

ユリ咲の黄色のチューリップとピンクのフリンジ咲き
忘れな草の青が引きたて役 

コデマリが咲き始めた

八重のフリンジ咲のチューリップ

目高の瓶とラナンキュラスが咲き始めた植木鉢
老犬ももこがいた昨年の春はももこのためにピンク色の花を何種類か植えた
この春はももこを偲んで寄せ植えした

紅梅の根元の花壇で都忘れが咲き始めた