すべて父が植えた乙女椿だが庭に7本植えられている。
花後に強い剪定をすると翌年は花が少なめになる。昨年の春はその前の年の剪定が強かったので控えめに花が咲いた。
今年は昨年の剪定が軽めだったので花数が多くなり、濃い緑色の葉から浮き出るように咲くピンク色の花がとてもきれいに感じられる。
今日は朝の散歩以外はほとんど家の中で過ごし、居間から1本だけ眺められる乙女椿を見ながら、花数の多さがかえって寂しい気持ちを誘うのに気づいた。
昨年夏に他界したミックス犬のももこが思い出されるから。ももこがいた昨年の春も庭の花たちはきれいに咲いたのだが今年はさらにきれいに咲いているのを見てことばに表しがたい複雑な思いになる。ももこがいないということ。ももこにいてほしいという思い。花のひとつひとつがももこの不在を強く感じさせる。
そろそろこれから咲く花たちの手入れをしないといけないのだが腰が重い。クレマチスのからまったつるを枯れたものと生きているものにわけ枯れたものを除いてきれいに咲くようにつるを誘因したり、鷺草の植え替えもそろそろだ。
ももこはいないけれど、いた時と同じように庭仕事を続けていこう。
散歩せる友と別れてわが犬と連れ立ち歩くよく歩きし道
目の前をうつしみの犬が歩けるそこはかとなき悲しみの景色
前方からよく吠える犬が来れば白昼夢と横道へ曲がる
死にし後花束もらひしわが犬を勝者の花見て思いゐづ
濃き緑に花を浮かべる乙女椿昨年(こぞ)もこの同じ樹を見たるらし
去年(こぞ)の春やまひに向かふ老犬がをりて乙女椿も咲きき
赤色のラナンキュラスのつぼみ日々見守りて春は過ぎゆきき