老犬ももこの夢を見た

 明け方だと思う。目覚める前に見た夢。夢のなかでももことわたしは船の中を歩いていた。ももこの顔をよく見ていないのだが(というより夢の中でおぼえていない)、犬のお尻が印象に残っている。お尻の毛が抜けてうすいピンク色の地肌が見えている。
 このお尻でももこだと思ったのである。連れ立ち歩くももこと夢の終わりに港に着いたらしく、わたしたちは船のタラップの端にいる。
 タラップは横に細い板が数センチごとくらいに打ち付けられていて凸凹している。しかもゆるやかな上りである。歩くのをためらっていると乗客の足もとを見守り声をかけている男の人がいて、ももこを抱いてくれようとする。ところが足の不自由な人が来たのでそちらを優先する、男の人はももこのほうに軽く腰をかがめてごめんねと言う。わたしも腰をかがめてももこの背中を撫でて、ここで目が覚めた。
 男の人がももこのことを尊重してくれたというか、ももこの目線に近づいて声をかけてくれたことがあたたかい余韻となって残った。だがももこの毛が抜けたお尻を思い出し、寝起きに泣いてしまった。
 ももこは生前、どうも男の人が苦手だったようだ。男の人がそばにくると顔がこわばるというほどではないが、まったりとした様子が消え少し緊張するようだった。こどものことは好きでそれは顔つきや態度からもわかった。女の人も好きだった。
 夢の中ではももこが苦手とする男性からやさしいことばをかけられ、ももこはどんなふうに感じただろうか。

 尻の毛が抜けたるわが犬と船に乗れる夢を見たり

 わが犬にやさしきことばかけくれる男をリたり船を降りるとき

 腰かがめ老犬ももこの背中を数回なでたるに目が覚めつ

 為替と軍備拡大の競り合いがこれから始まる米国と中国

 米国の大統領と我が国の首相うま合う裏があり

球根や草花を植えた植木鉢が春の陽射しをあびている
球根は堀起こしたチューリップの球根が多く、
柴犬レオや老犬ももこがいたとき咲いたチューリップが今年も咲くはず

黄色と青紫色はわたしがいちばん好きな早春の花の色