午前中は雨が降り、お昼前にあがった

 今日はほとんど一日中家にいた。雨なので老犬ももこの友だち犬と歩く恒例(?)の朝の散歩もお休みした。ももこがいるときは雨の日でも外に行っていたがそういうことはなくなった。
 午前中から午後早い時間にかけて一回買い物に出た以外は、炬燵の前に座って図書館から借りてきた本を読んだり、歌を詠んだ。

 雨の日の朝の暗さに身がすくめり遠い記憶が立ち上がる気配
 震災のひび入りぬ子のためにピンクのタイル選びしお風呂場
 お風呂場にいただきものの柚子薫り過ぎし一年思いめぐらす
 お風呂場に老犬の鳴き声とどき異変と思えばおちつかなし
 水音たてて風呂に入りたる父の姿いまはなつかしき
 モンローのドレス五億円あまりケネディの誕生会に装ふ
 72歳で脳梗塞に倒れ遠出できなくなりし母なり
 迷い犬となりて2年5ヶ月余ももこは生きし やすらかにあれ
 若犬の足どり軽き目に入ればわが犬の老いの歩み思ほゆ
 名も知らぬ野鳥の声聴こえるに見上げれば流れる雲のむれ
 波の音聴こえる林抜ければ銀色の光あふるる白浜
 モネの絵のごと朝の光たゆたふ漁港にしばし佇みおり
 海辺の町に落花生掘り起こす老女おりてほほえみかわす
 夏の花群れ咲ける民家朝影に包まれどこかやさしくあり
 老犬を死なせしわれは痛める心抱き千倉を訪れつ
 わが友は波音近い海辺のホスピスに1年あまりおりき
病院の食事にあきたとふ友と居酒屋で夕食を共にす
 友おりしホスピスに泊まりたれば消灯時間まで話尽きず
 死の際に感謝の気持ち持ちていたしと友語りき最後の会い
 一生分を話して翌日の午後友のいるホスピスを後にす
 東京と海辺の町メールかわし1年あまり友の訃報
 わが書きし暑中見舞い友の逝ける後届くと電話で知れり
 葉書に描きし朝顔は友が旅立つ青い空に溶け込みしか
 遠い日のことなればすべて蜃気楼のごとものの境目揺らぐ

 薄幸の女のようなまなざしを時に見せにき老犬ももこは

 朝起きて掃き出し窓のカーテンを開けた時の気持ちからはじまり、いろいろな歌を詠った。
 友だちを海辺の町に訪ねたのは3年あまり前、老犬レオが死んだ後の夏の日のことである。あのときはレオが死んだ直後で心身ともに衰弱状態にあり、歌にするなどとてもできなかった。友だちが他界し歳月が過ぎやっと歌を詠めるようになった。
 夕方になり、車で花屋さんに培養土や植え替え用の花苗を買いに行こうと思ったがまた雨が降り始め迷っているうちに暗くなってしまった。園芸関係の買い出しは明日にすることに。

一年前の11月16日のももこ