お昼近く近くの特別支援学校のカフェに足を運び、いつものように珈琲を楽しんだ。よくいっしょに来た犬友だちから用事ができて行けないというメールがあった。
少したって携帯に電話があり、もうひとりの犬友だち(こちらのほうがおつきあいは長い、柴犬レオがいる頃からだから)がこちらに来るという。カフェは友だちとわたしだけになり、こころおきなく話せた。友より手作りのジャムもいただいた。
帰り、薔薇がきれいというのでご自宅までいっしょに歩き、見せてもらった。アイスバーグという名前の蔓薔薇が白い房咲の花をはなやかにひろげている。朝切って水切りしておいた薔薇のブーケをいただいた。白い薔薇と濃いマゼンタ色の薔薇である。
こうして友だちと何げない交流を重ねながら、わたしが持つ徒労感は癒されていくのだろうか。
そういえば昨夜は数回目を覚ましたが、朝目が覚めたとき夢を見ていた。友だちが出てきた。この友だちも犬友だちで柴犬レオがまだ1〜2歳のころ、散歩しているとき多摩川の河原で会い、ずっとつかず離れずおつきあいしてきた。友だちも愛犬がいたが若くして死んでしまった。
この友だちと駅前の花水木が植えてある道を歩いている夢だ。わたしは友だちになんでわたしの電話に返事をくれないのかと聞くと友は過去のことをいつまでも引きずっているような人とは付き合いたくないと答える。わたしはそうなのと答え、それならわたしもあなたと二度と会わないし連絡をとらないからあなたもそうして、と言う。友だちを置いて背を向けてひとり歩くわたしは強くためらう。夢の中でからだが大きく揺れ動くようなためらいだった。そこで踏ん張り、自分を何かから引き離すように夢のなかのわたしは前に歩く。一度引き離すとからだはすーっと前に行き、やったと思ったところで目が覚めた。
もしかしたら夢の中の友だちはもうひとりのわたしかもしれないが、実際に付き合いが途絶えた友だちがいてしばらくの間あれこれ考える時があった。最近はあまり考えることがなかったが無意識の中でわたしは少しずつ変わっていたのかもしれない。夢の後味はすっきり。最後に振りきったからだろうか、力を得たような気持ちになれた。
午後からは雷雨が降った。その数分前に洗濯ものを取り込んだ。セーフ。
雨が庭土をたたく音、庭木の葉っぱを打つ音。老犬ももこがいた昨年の夏を思い出させた。
友に別れを告げる夢見たり背を向けるわれはためらひ歩みゆるめり
躊躇いをしかと振り切るわれがいて前を向き歩み夢より目覚む
花終わる忘れな草を引き抜きて種振りこぼす未来のために
花終わるヒヤシンスを掘り起こせば花の季節は夢のごとしも
雨つぶをどっぷりとふくむ雲おおひ庭の木々の緑濃くなる
雷鳴に重なり雨がやってきて庭打ちつける音が聞こへたり
葉を打ちて地をたたく雨音聞こへれば老犬ももこをりし夏還る
わが犬とただ一度だけ歩きけり日照雨(そばへ)降る道ひとり歩く
日照雨降る夕ぐれの空透きとおる薄青ひろがり希望のごとし