短歌を作ってみた

 明日は老犬ももこの六七日。その1週間後が四十九日である。人間ならば法要と共に納骨をすますところだが、ももこの骨はしばらくこの家にいることになる。
 ももこの供華が寂しくなったので午後は車で花屋さんに行き、白い小菊と淡いピンク色のトルコキキョウの束売りを買ってきた。玄関に飾った生け花と和室に安置したももこの遺骨のそばにお供えした花、居間にはももこの絵と写真を置いて花が手向けられている。花があちこちにあるわが家である。
 花は死んだものが見て楽しむわけではないが、生きているわたしのなぐさめにはなる。優しい色の花を手向け、素直でおっとりとしていた在りし日のももこを偲んでいる。
 今日は自分の歌を記してみる。

愛犬が家に待ちおれば帰りのバスに揺られつつこころせく日も

行先の違うバスがすれ違い乗客たちも離れてゆきたり

対岸のビルの灯で描かれたサンタクロースバスより眺めき

夏の日に日傘をさしてバスを待つあの日を今日はなつかしみたり

土手上を走るバスより氾濫せし河原に残る流木を見ゆ

温室村というバス停ありてわが祖父が温室営みし地なり

愛犬がこの世を去りし8月のカレンダーそのままに過ぎぬ

ゆうずうむげを理想とす織田信長の陣羽織には揚羽蝶舞う

そよと動かぬ庭木の時が止まりているやうな夕暮れなり

日が落ちて庭の木闇が濃くなればそぞろに思いははばたきぬ

蓮根の季節となりサラダよく作りしを思う父在りしころ