星野道夫の写真展を観に行く

 日中は陽射しが強く暑くなった。お昼前に家を出て、銀座松屋で開催中の「没後20年 特別展 星野道夫の旅」を観に行った。
 8月26日に他界した老犬ももこを動物病院に連れていき、最後の血液検査をした時に、病院の受け付け近くにこの写真展のパンフレットと割引券が置いてあった。腎不全の末期症状を見せていたももこを置いて行けないだろうと思ったが星野道夫の世界に興味があったので割引券を一枚持って帰った。
 その割引券はどこにしまったか忘れていたがたまたま昨日どこからか現れたので、ももこにつながっているような気がしてでかけたのである。
 土曜日なので混雑はしていたが写真の一枚一枚をていねいに見ることができた。ホッキョクグマのどこかひようひょうとした表情、家族で過ごすホッキョクグマはとてもおだやかな顔をしてのびのびと北極の自然の中で生きている。生存のための厳しい戦いもあるにちがいないのだが、こういう時間もあるのだと思った。
 アザラシの母親に甘え、お腹を出して寝っころがる赤ちゃんの愛らしさ、母親の慈愛あふれる表情もいい。神秘的なオーロラの写真にも魅せられた。ももこがわたしをこの写真展に連れてきてくれたと思いたい。
 帰りは最寄りの駅から自宅に行く途中にある叔父たちの家に立ち寄った。叔父のひとりが人工透析が必要となり、今年のお正月から入院しているのでそのお見舞いに行こうという話をした。従妹たちはもうすでに2回お見舞いに行っているそうだが、わたしは入院中であることを最近知ったのでまだ行っていなかった。
 だいたいの日程が決めり、叔父宅を後にし家に帰った。
 今夜は近くの神社の宵宮祭なので夕食後、折り畳み傘を持って神社の境内へ。空模様があやしく雨が降ったり止んだりしたので傘が助かった。
ももこが死んだことを誰かから聞いた知り合いの奥さんに声をかけられた。ももこちゃんは感謝しているわよ。ことばにしなかったが、わたしのほうがももこに感謝していると思っている。ももこはわたしを支えてくれたし、いやしてくれたし、なによりもずっとそばにいてくれたことがうれしかった。例え短い間だったにしても。