老犬ももこの初七日

 先週の金曜に他界したももこの初7日を迎えた。朝から晴れわたる空には秋の雲がたなびいている。
 ももこがこの家で闘病生活を送っている時も8月半ばを過ぎると朝夕の庭から虫の鳴き声が聞こえ、トンボも飛び交っていた。だが今日は秋がさらに近づいたような気がする。
 ももこがいない生活はぽっかりと穴が開いたような空虚感があり、何をして過ごしていいのかわからない。庭に出てスモモの木についた毛虫退治を少ししたが殺虫剤が無くなったので中断した。
 お昼ごはんのスパゲッティを台所で作りながら、ももこがいるときは鳴いていないかいつも気になっていたことを思い出した。ときどきももこの様子を見て眠っているのを確認しながら料理をしていた。そういうこともなくなり、ひとり料理をする寂しさが身に染みる。 昼食を食べる時もかたわらにももこがいて、食べている途中でも、ももこが鳴けば中断してトイレなのかを確かめた。ももこがいなくなっても、ももこがいるようにももこが寝ていたベッドの方向を見てしまう。
 初7日なのでももこが好きなおやつを買いに行こうと思ったが、昼食後疲れが出て、ももこの遺骨を安置してある和室で横になった。うとうとしていると携帯が鳴り、横になったまましばらく話した。電話を切ると固定電話に留守電が入っているのに気付いた。
 犬友だちからの電話でももこに花を持ってきてくれたと入っていた。すぐ電話をすると、これから来てくれるとのこと。
 きれいなパステルカラーの花束を抱えて友だちが訪れた。ももこの写真を1枚選んでもらいながら、ももこがこの家に来るに至った経緯を話した。ももこちゃんはこの家に来てくれたんだねと友だち。ももこがこの家がいいと思って来てくれたなら、わたしはうれしいと思った。
 ももこがこの家に来て、こんなにももこを大切に思ってくれる友だちと会えた。もここの選択は正解だったと思えた。こう考えると、ももこを不憫に思う気持ちが少しやわらぐ感じがした。
 せいいっぱい一生懸命生きてくれてありがとう、ももこ。
 ももこを好きになってくれた友だちにも心からありがとう。

友だちにいただいた花を花瓶に活けてももこに手向けた

今日の朝の空と朝顔
ももこがいない9月が始まる