老犬ももこのこれからについて考える

 昨日(土曜日)に久しぶりに行きつけの動物病院にももこの検査に行った。いつもは点滴の輸液などを2週間に一度わたしが取りに行くだけで,ももこは行かなかった。ももこが血液検査をしたのは5月27日が最後で、それからいろいろ病状に変化があったが検査をしていなかったのである。
 ももこの腎機能がどれほど悪化しているのか、ももこの口びるが白くなったので貧血が進んでいるのではないかという懸念があり、それを確かめたかった。
 検査の結果は腎機能の数値は少しだがBUN、クレアチニン、無機リンともに改善していた。だが貧血は大幅に悪化していた。獣医師から腎不全の末期にする注射との説明があり、エリスロポイエチレンの筋肉注射をした。人間用の薬剤で犬に注射すると抗体ができることがあり、続けての注射はあまりできないとのこと。腎機能が悪化すると赤血球を作りなさいと命令するホルモンの分泌が少なくなり、赤血球が作る量が減るがこのホルモンを注射して衰えた腎機能を補佐するわけだ。
 ももこが受けた注射はもろ刃の刀みたいなもので、貧血は改善するかもしれないが抗体ができるとエリスロポイエチレンが作用しなくなる恐れもあるらしい。
 ももこの貧血が末期的な状態まで進んでいるのを知り、どこまで治療を続けるのかという根本的な問いに直面した。輸血という方法もあるそうだが、病院に何時間かももこを預けて輸血を受けるとのことで,ももこにもわたしにも負担が大きいような気がする。輸血を繰り返して生き続けることがももこにとって望ましい事だろうか。輸血を受けて健康状態が改善し、またふつうに食べられ、歩けるようになるなら受けた方がいいが多分、食欲は戻ることはないだろうし、寝たきり状態も変わらないだろう。ただ、生きている状態が長く続くだけである。そこまでして、ももこに生きてもらったほうがいいだろうか。ももこは生きていたいだろうか。 
 1〜2週間前くらいから、ももこは鳴き声を出してわたしに要求するようになった。ほとんどがおしっこをしたいだが、ひとりで寂しい時も鳴きき声を出す。わんわんという強い声ではなく、かすれた弱弱しい甘えた感じの声である。こうしてわたしに甘えてくれるのはとてもうれしい。元気な時はいちども鳴き声を出したことがなかった。喉の奥でくぐもった音を出すのがせいいいっぱいでそれもほんのたまにだった。甘えてくれるももこともう少しいっしょにいたいし、ももこにも、もう少し長く甘える時間をあげたいが、甘えることさえできないような状態で生きながらえるのはかわいそうだ。