老犬ももこが急変

 今日は鍼灸治療を受ける日で、午後4時近くに獣医師が家に来た。
 ベッドに横になっているももこを触診し、ももこの状態をわたしが話した後、鍼治療を始めた。腎機能や免疫に関するつぼなど、全身に鍼を打ち、15分ほどそのままにした。治療が終わると、ももこは遠吠えのような鳴き方をした。これが今思うと異変の始まりだった。
 先生が帰った後、膀胱炎のために飲んでいる抗生剤を蜂蜜に混ぜて飲ませた。その後しばらくたってから、ももこが嘔吐した。飲んだ薬が混じっている。さらに何回も吐いた、茶色の液体を。食べたものの色のようでもあるし、違うようでもある。
 吐き気が続くので行きつけの動物病院に車でももこを連れていき、セレニアという吐き気止めの注射をしてもらった。診察台でも、ももこは一回吐いた。車の中の床に敷いたバスタオルにも黄色い嘔吐物があった。
 獣医師はももこの息が荒いのを見て、もう長くないと言った。車で家に帰り、それからももこは口を半開きにして息をしている。ときおり遠吠えのような声をかすかに出す。目を大きく見開いているのは苦しいからだろうか。

 ももこの最後の夜になるかもしれない。
 思えば昨夜は2時間置きくらいに起きて遠吠えのような鳴き方をした。起きるたびにおしっこをしたが、早朝におしっこをしてから眠らなかった。あれはももこが身体に異変を感じたからかもしれない。苦しかったからかもしれない。そのことに気づくことができなかった。


夏の雲と秋の雲が混ざりあう8月の青空
この空を忘れないようにしたい