若葉萌える季節に

 日に日に若葉が大きくなっていくのを見ているとひとり取り残されたような妙な気持ちにおそわれる。
 昨年の今頃は老犬ももこがこの家にいて、腎臓病だけでなく脳の病気も進行していたのにわたしはそんなに重大なことになっていると気付いていなかった。このことを思い返すと強い後悔の思いに苛まれる。もっと早く気付いていればももこはもっと長く家にいられたののではないか。犬は人と違って3か月で一つ歳をとる。1年で4歳老いるのである。
 ももこは一昨年この家に来てから何回か血液検査をしていて腎機能を表す数値にさほどの変化がなく(腎臓の機能が4分の一しか残っていないという状態を保っていた)、昨年1月の検査でもほぼ同じ状態を保っていたので安心したところがある。
 三か月に1歳年を重ねることを考えれば昨年の3月くらいにまた血液検査をすればよかった。きっと腎臓などの数値に何かの変化がありもっと早く治療にできたのではないか。
 今になってああすればよかったと思っても仕方ないのだが4月はももこがまだ症状が強く出ていない最後の時で、あの時なんとかしていればと思えてならない。柴犬レオが死んだ後は悔いが残り長く引きずっていたがももこの場合も同様で、わたしの性格がなせることかもしれない。
 今日はひと月ぶりくらいに近くの生け花教室に行った。取りまとめ役の班長さんは外せない用事があり、花材の代金を集金して帰った。生徒が4人だけの教室だが久しぶりなので楽しく活けられた。
 花材は薄めの紫色の菖蒲3本、梅花つつじの枝1本,えんじ色の撫子3本。
 今日の主役は菖蒲なのでこの花を生かした活け方を教えていただいた。梅花つつじの枝を左右にひろげるように活けて、真ん中に空きを作り、そこに主役の菖蒲を活け、撫子をそえるようにする。
 わたしは剣山を縦長に使ったので、菖蒲を生かす様な活け方ができなかった。家に帰り、剣山をふたつ用いてその活け方を試みたがけっこううまくいった。

菖蒲がつぼみで寂しいが花が開けはもう少しはなやかになりそう
梅花つつじの芽生えたばかりの枝はこの季節にぴったりで風が通り抜けるような風情がある


こたへない愛犬の名を呼びながらデスクトップの画像をなでたり

草間彌生の水玉をまとふ欅の樹が美術館へ誘いたる

草間彌生の水玉まとふけやきの樹のまえポーズとる幼女あり

大きな弧夜空に描けり美しくも不気味 米国のICBM

空爆も地雷もなきわが国の平和これからも続くこと念ず

「前かけ笠」富士の中腹に雲かかり頂き見ゆる晴れのサインとぞ

死にし犬むしょうに恋し日を重ね濃くなる若葉街を染めて