色づく紫陽花と共に

 朝起きたときから雨が降っていた。老犬ももこはこんな日には玄関の外で用をたしてくれるかと思ったが、小雨くらいなら外に行きたいようでレインコートを着たわたしと家の前の道路に数回でた。ある程度身体を動かすことで、おしっこの出がよくなるようだ。
 朝9時半から10時頃に毎日行うももこの皮下点滴もだいぶ慣れてきた。毎日するようになってから12日間がたった。皮下点滴を家で始めてからしばらくは、点滴中、わたしの心臓がいつもどきどきしていた。自分で自分の心臓の音が聞こえ、緊張していることがわかった。
 最近は心臓がどきどきすることもなく、決まった手順をていねいに重ねて皮下点滴をしている。ももこは針をさすとき、かすかにびくっとするがそれ以外は静かに横たわっている。点滴中、なるべくももこに手で触れて安心してもらうようにしている。
 午後に車で駅前の銀行に行き、ついでにスーパーマーケットで買い物をした以外は一日中家でいた。家にいても何かをしているということはない。部屋の片づけを少しした程度。午後は買い物から帰ってから、居間に眠っているももこを残して自室で横になった。眠たいというより疲れたという感じで1時間ほどうとうとした。夜中にももこの気配で2〜3回起きることもあったがここしばらくは起きても1回で、ももこに起こされるのではなく、自然と目が覚める。しばらく起きていてもまた眠るのでそんなに疲労がたまることがなくなった。こういう落ち着いた日が続くといいのだが。
 雨に濡れて葉っぱの緑も赤紫色に色づいてきた花もいきいきと輝いて見える紫陽花を、洋室の窓からときどき眺めながらももことおだやかな一日を過ごした。来年のこの時期にももこはいないかもしれないと心のどこかで思っているわたしを感じながら。

 柴犬レオと過ごしていた時は、来年の今頃は・・・・と考えたことがなかった。今思えば不思議だがその日その日に集中していたからだろうか。レオを失い、ももこと暮らすようになって今という時間が同じように続くことはないと切実に思うと同時に、ももこのいない未来を考えまいと思っても考えてしまう自分がいる。


昨夜のももこ
夕食後に撮った
最近のももこは食後にすぐうんちをするので
トイレシートの上に座って食事をしてもらう



紫陽花やツツジの植込みの回りに
茗荷が葉っぱを伸ばしている