山紫陽花が咲き始めた

 さわやかな五月晴れの一日。
 朝、ゴミ出しのため近くの川沿いに行ったら、橋の上にカメラを設置して何かを撮影していた。好奇心をそそられ近づいて何を撮っているのですかと訊ねると、空を撮っているとの答え。見上げると雲がおおう空の向こうに太陽の光が感じられる、動的な空がひろがっていた。雲は力強く、太陽も力強い。
 老犬ももこはあまり歩かない。ほとんど寝たきりといえるかもしれないが、家の中はときどき移動する。自分で立ち上がることもあれば、床をカリカリ引っ掻いて立ち上がろうとしても立ち上がれないことがある。そういうときは手を貸してあげるのだが、ももこにとっては不本意かもしれない。
 というのはそういう時、わたしは必ずももこを外に連れ出そうとするからだ。立ち上がろうとするのは即トイレと思いこんでいるところがある。ももこは別の場所で眠りたいので立ち上がろうとすることもあるので、わたしが手を貸すのは迷惑なこともある。それでも2回に一回くらいはトイレなので助かることもある。
 朝は庭の通路の草をむしったり、駐車場の掃除をした。ゴミ出しの日の日課みたいなものだ。お昼近くになり、花後伸び放題の山吹の枝を切った。居間の掘り炬燵をしまい、掃除機をかけ夏用の大きなラグを敷いた。ももこは最初、居間で眠っていたが掃除のため広縁に移動させた。掘り炬燵をしまった部屋は広く感じる。
 午前中はかなり元気でいろいろなことがやれそうな気持ちだったが、お昼ご飯を食べた後、体調は一変した。お腹の調子が悪くなり、急に疲れを感じ、身体を横たえたくなった。少し休もうと思って居間に横になるとそのまま眠ってしまった。目覚めると視線の向こうに数メートル離れてももこの顔があった。ももこといっしょに1時間くらい眠ったようである。
 ももこと病院に通い、点滴に付き添い、家に帰っても夜はあまり眠れなかった。自覚はなくても疲れはたまっていたのだ。
 夕方近くの庭に出ると、春はいつの間にか遠くになり初夏がやってきたのを感じた。ニゲラの花がひとつだけ咲き、山紫陽花の花も咲き始めた。額紫陽花は花芽を小さな葉っぱの間から伸ばしている。
 柴犬レオが過ごした最後の初夏。こんなふうにあのときも季節は移り変わっていったのだろう。

山紫陽花’紅(くれない’
咲き始めは白い花が咲く進むと濃い紅に染まる

名前のわからないオールドローズ