久しぶりに散歩をし、お墓参りも

 風が少し冷たいが花の季節なので散歩に出た。健康診査でコレステロール値と血圧が高めであることがわかり、日常的な運動をすすめられたこともある。
 散歩コースの途中に菩提寺があるので立ち寄り、花立の水を替えてお線香をくゆらせ手を合わせた。境内に植えられた木蓮は花が終わり、地面に落ちた花びらも色が変わっていた。代わりにアカバトキワマンサクの濃いピンク色の花が咲いていた。
 お寺を出てさらに歩くと住宅街の一角に竹林があり、通り過ぎたところに山吹の花が迎えてくれた。さらに歩くと遠くにまとまって歩いている人が見えた。近づくと大学に向かって歩いていることがわかり、今日が入学式なのだと思った、新入生とその親御さんのカップルが次々と歩いていく。
 松葉杖をついている学生と母親というカップルもある。ご両親がつきそっているところもある。
 大学のキャンバスに新入生を勧誘する同好会やクラブの看板が並び、歓迎の声が響きわたる。いつか来た道と思った。何十年か前にわたしも大学の入学式に参列し、キャンバスで先輩学生たちの勧誘を受けた。わくわくするような体験だった。
 心の中でいい大学生活が送れますようにと願い、家路を急いだ。
 家に帰り、玄関の扉を開けて広縁で横たわっている老犬ももこに声をかけた。ももこは顔を上げてわたしを見たがその表情に何か引っかかるものを感じた。ももこを外に出してもおしっこをしないので、家に戻り、トイレシートをチェックすると一枚が湿っていた。それだけでなく、床に敷いたジョイントマットの一枚に茶色いものがついていた。ももこはうんちも部屋の中でしてしかも食べてしまったのである。
 もしかしたらと思っていたがその通りになってしまった。散歩に出る前にももこを外に出ようと誘っても出なかった。引っ張り出すようにしても出せばよかったと思ったが後の祭り。


竹林が続く道の端 山吹のひと群れありて光放ちをり
入学式が開かれるらし子と親連れ歩き街の一角はなやぐ

亡き母は庭隅指さし問いかけきあの紫は何の花かと
病室で最期の別れをする母のわが手を握る指先強き