風がまったくなく、空は晴れ渡り、陽射しが降りそそぐ。沈丁花は花の盛りを迎え、あたりに甘い香りをまき散らす。桃の木やスモモの木の下に植えたクッロカスは太陽に向かって小さな花を精一杯ひろげる。
こんなにいい天気なのにわたしはなぜか眠くてたまらなかった。庭仕事や絵を描くなどやりたいことはいろいろあるが、どれにも気持ちが動かなかった。ただ、眠いのだが昼寝はしなくて、横になって休んだだけ。
夕方近くになり、自室で横になったわたしのそばに老犬ももこがやってきたが、横になったままのわたしを見て部屋を出た。またやってきて部屋を出るを繰り返した。何回も繰り返すうちにももこが可哀そうになって起き上がった。夕方はももこにとって大切な夕食の準備をする時間だから、わたしが横になって動かないとももこは心配でたまらないのである。
今日は買い物にも行かず、ずっと家にいたがももこを外に出すため家の前の道路に何回も出た。その時通りかかった近所の奥さんや知り合いの人などと、ことばをかわした。ももこの友だち犬も通りかかり、飼い主さんと立ち話をした。ももこはちょうど家の中に戻ったときで、ももこはいなかったが。