今年三度目のお墓参り

 朝は冷え込んだらしいが、庭や花壇に霜が降りたのを見なかった。
 早朝5時頃、目を覚ますと同じ部屋で眠る老犬ももこも目を覚ましたようで枕元まで歩いてきたので起きた。厚手のコートを羽織り、緑色のマフラーをして外へ。庭の通路を急ぎ、門扉を出てすぐのところにおしっこをした。さらに10メートルも歩かないうちに大の用をたし、ももこはこれで用が済んだとばかりに家に戻った。外はまだ真っ暗である。東の空に金星が輝いている。何日か前は金星の近くにお月様が見えた。明け方近くに上る細い月である。
 ももこが用をたすとすぐ家に帰りたがるのは、後ろ足の調子がいまいちだからだ。家の中で歩いているとき、後ろ右足のかかとが床についていることが多く、こういう状態のときは調子が悪い。調子が良くなると立っている時や歩いているとき時、かかとが床から離れていることが多い。
 ももこは食欲のほうは旺盛で、朝6時の朝食前、夕方5時の夕食前は早く食べたいと落ち着かない。ただ、足の調子のいいときは部屋を歩き回るが、今日は比較的おとなしくしている。
 道で会った近所の奥さんが神社で炊き上げしているというので、午前中に古いお札を持って神社に行った。昨年の厄除けのお札が一枚残っていて捨てるわけにもいかず、返すべき場所に返せてほっとした。
 その足で近くのお寺に今年三度目のお墓参りへ。お寺の境内には白黒の布を張った起きなテントがしつらえられていた。正門から入ったところに数えきれないほどの献花が並べられ、そのひとつひとつに贈り主の名前が掲げられている。亡くなった方は歯科医師で、専門分野が口腔外科のようだ。
 このお寺でこれほどの規模の葬儀が執り行われたのを見たのは初めてで、かえってささやかな父母の葬儀を思い出した。
 年が明けて三回もお墓参りに来たのは、母の命日が1月12日で、母がいた最後のお正月や、体調の急変で入院したときのこと、短かった入院生活などが思い出されるからである。

神社の炊き上げの様子
小さな地元の神社でいつもは無人状態、神主さんがいるのは大みそかから新年三が日くらいまでである。