静嘉堂文庫美術館へ行く

 曇りで気温が上がらず、厚着してでかけたくなる、そんな一日だった。今年最後の祝日は天皇誕生日である。
 前から行きたいと思っていた静嘉堂文庫美術館で開催している展示会「金銀の系譜」を観に行った。今日は展示会の最終日なので混雑すると思い、開館と同時に入館することにした。
 家を9時少し過ぎに出たが、バスの乗り継ぎがスムーズだったので、開館時間より30分近く早く到着した。数人しかいない開館待ちの人が開館間際にはみるみる増え、開館後にはどっと押し寄せた。
 それでもゆっくりと鑑賞できたほう。時間が過ぎるにつれて混雑が激しくなった。
 「金・銀の系譜」の副題は「宗達光琳・抱一をめぐる美の世界」で、俵屋宗達尾形光琳酒井抱一へと受け継がれた琳派の美意識が表現された絵画を中心に展示されている。
 修復作業を終えて初公開となる俵屋宗達の「源氏物語関屋・澪標図屏風」は物語の主人公である光源氏や明石の上、空蝉の姿が具体的に描かれていないため、絵の世界にある種の緊張があり、ドラマを感じさせる。
 酒井抱一が描いた「波図屏風」は尾形光琳の「波濤図屏風」に着想を得て描かれたもので、酒井抱一は自筆の手紙にこの絵を自慢の作と自ら書いている。スケールの大きな六曲一双の屏風図だが、六曲とは六枚の屏風を連ねたもので、この六枚屏風が対になり、計12枚となっている。近くで見たり少し離れたり、この屏風図をじっくりと鑑賞した。
 酒井抱一が描いた菜の花と青麦の絵もよかった。実に巧みな筆使い。こういう繊細な絵もいい。
 1時間半ほどで鑑賞を終え、ますます混雑してきた美術館を後にした。
 
正門から入り、静嘉堂文庫美術館までなだらかな坂道を上る

美術館と同じ敷地にある静嘉堂文庫の建物

庭園内には岩崎家の廟がある
鹿鳴館などを設計したイギリス人建築家のジョサイア・コンドルによるもの