昨年から見に行きたいと思っていた「新・北斎展」に行った。
JR日比谷線・六本木駅からコンコースを歩いて5分ほど、六本木ヒルズにある森アーツセンターギャラリーで開催している。
行きたいという思いとは裏腹に二の足を踏む気持ちもあり、それはギャラリーが高層ビルのなかにあるということ。
エレベーターなど狭い空間が苦手で、高速エレベーターに乗るのが苦痛である。
52階へのエレベーターの扉が閉まる瞬間、なかから出たい衝動が 湧きあがったがぐっと抑えて動き出すと観念したのか気持ちが落ち着いた。
とても混み合い、まずチケットを買うのに並び、エレベーターに乗るのに並び、ギャラリーに入るのに並んだ。
もちろん、館内も混み合っている。おおぜいの人にストレスを感じたが、葛飾北斎の絵に集中した。
北斎は30何回か画家としての名前を変えたそうで、画家として春陽という名でスタートした。
名前を変えるごとに画風を変えたわけではないだろうが、北斎の多彩な画才に出会える展示会だ。
黒い呂のきものから透けて見える下着が色っぽい美人画や、劇画タッチの白黒の絵、北斎漫画と言われる白黒で描いた風俗や植物、人間の日常や非日常の所作、代表作にして名作の「富岳三十六景」、迫力ある肉筆画・・・・・・・・。
展示している作品は多く、人波をかき分けてみなければいけないこともあり、見るだけでひと苦労だったがやはり来てよかった。
北斎漫画のひとつだったと思うが、遠近法のやり方を描いたものがあり、二階建ての建物と並木が描かれていた。その建物が現代のアパートにそっくりで、江戸時代に北斎が描いたことに驚いた。遠近法は近代絵画、西洋絵画の匂いがある。
富岳三十六景の「凱風快晴」の深い青の美しさ。こんなにきれいな青は見たことがないかも。富岳三十六景のなかのいくつかはかなりモダンな絵だと思った。
最晩年に描かれた絵のひとつ。黒い龍が天に登ってゆく絵は展示期間が違うらしく今回は展示されていなかった。「富士越龍図」という絵かもしれないが後期に展示されるようだ。後期は2月21日から。
うきうきと歩くを楽しむ犬連れてダウンの男の足どり重し