「鈴木基一 江戸琳派の旗手」を観に行く

 昨日より雲が多くなったが今日も晴れて日中は気温が上がった。
 会期が10月末までの「鈴木基一 江戸琳派の旗手」をサントリー美術館に観に行った。
 チケットを買うために並ばなければいけないのに驚いた。館内に入るとそんなに混み合っていないのだが、チケットを売るカウンターのところで渋滞になる感じだ。
 江戸琳派を興した酒井抱一の最も優れた弟子が鈴木基一(きいいつ)。見応えのある6曲一双(6枚の屏風が2つ連なる構成)の屏風絵が3つほど展示されていた。根津美術館所蔵の「夏秋渓流図屏風」とメトロポリタン美術館所蔵の「朝顔図屏風」、もう一つは「四季花鳥図屏風」である。「夏秋渓流図屏風」は単純化された水の流れや林の下草などの描き方と、写実的な檜や夏のヤマユリ、秋の紅葉などの表現が見事にひとつの世界をつくっていて迫力がある。いちばん見たかった「朝顔図屏風」は計12枚の屏風全面に金色の余白をとりながらもつるを展開する深い青色の朝顔が描かれている。正面を向いた花、下向き、上向き、横向きの花、後ろを見せている花もあり、色合いも鮮やかな青色からミッドナイトブルーに近い濃い黒味のある色まで描き分けてあり、変化に富み立体感がある。
右側の6枚のほうが全体的に朝顔の色が明るく、左側は暗めになっていて色の変化が同じ朝顔の花と葉っぱ、蔓の絵柄でありながら絵を奥行きのある深いものにしている。
 琳派の代表的な絵柄である風神雷神図は襖絵で描かれていて、余白が多く、その余白が風神雷神を動的に見せているような気がした。
 小さな作品だが,返り咲きの桜を描いた扇など目を引かれた。花と紅葉を一枚の絵に描く趣向は鈴木基一好みだったようだ。
 他にも印象に残った絵はたくさんあるが書き切れないのでこの辺で。
 六本木の東京ミッドタウンから地下通路を地下鉄乗り場へ移動中、ふいに老犬ももこが現れたような気がしたので心の中で声をかけていっしょに歩き地下鉄に乗り家に帰った。